連載
月980円のオンライン予備校「受験サプリ」は、どのようして生まれたのか:上阪徹が探る、リクルートのリアル(6/6 ページ)
幅広い領域で次々とビジネスを拡大しているリクルート。本連載は、その変化を象徴するキーワードをテーマに、第一線で働く現役社員に聞く。「新規事業」の第3回前編に引き続き、後編をお届けする。
実力よりもちょっと上の期待
入社時、30歳には会社を辞めていると思っていた。そんな自分を反省しているという。
「大企業では何もできない、起業するのがいいんだ、と思い込んでいたわけです。でも、実際には大企業の看板があったからできたことがあった。投資だって、外部からならせいぜい1億円規模。小さく産んで大きく育て、どこかのブレイクポイントで大きくなるには、資本力の後ろ盾は大きい。大企業で新しいことをやるのは、実は面白かったんだ、と改めて思っているんです。せっかくなので、もう1つ、2つチャレンジしたいかも」
リクルートで得たものとは、何だったのだろう。
「チャレンジしていいんだ、ということです。臆病で内向的な人間なので、あまりチャレンジとか、世の中を変えていく、とか、自分にはできないと思っていたところがある。でも、もちろん細かい失敗はいっぱいあるし、怒られることもいっぱいあるのですが、応援してくれる仲間もいっぱいいて。青臭く、泥臭く、それって変えないといけないよな、って真剣に話し合える。これで自分が変わっていったんだと思います。世の中って、誰かが動かし始めないと動かないじゃないですか。でも、それは自分にもできるんだな、と」
実力よりもちょっと上の期待をいつもかけてもらえている、と感じてきた。それが、自分自身の大きな成長のエンジンになった。そのエンジンを作る仕組みが、リクルートにはたくさんある。
(次回、5月9日掲載予定)
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