アラフォーの「pino(ピノ)」が、いまも現役でがんばっている理由:仕事をしたら“アイス”ができた(1)(3/6 ページ)
アイスが食べたくなったので、コンビニの冷蔵ケースの中をのぞいてみると、定番商品ばかり。アイス市場は新商品が生まれにくいものなのか。そんな疑問が浮かんできたので、ロングセラーを続けている「pino」(森永乳業)の担当者に話を聞いた。
ピノの製造工程
木下: 企業秘密。工場でもピノの製造工程は隠されていて、社員でも一部の人間しか見ることができないんですよ。ひとことで言うと、台形のバニラアイスにチョコをコーティングする――といった感じですね。
土肥: ということは、世に「ピノの作り方」が出回ったら?
木下: 犯人探しが始まりますね(苦笑)。
土肥: ただ、米国にあるひと口サイズのアイスを参考にされたわけですよね。ということは、その会社の工場に行けば「ピノの作り方」が分かるのでは?
木下: 機械設備があれば同じモノが作れる、というわけでもありません。機械設備+味の研究開発――この2つがうまくかみ合うことで、おいしいアイスができます。味についても、おいしいチョコとおいしいアイスを組み合われば、おいしいピノができるわけでもありません。アイスに最適なチョコを組み合わせることで、バランスのいい商品ができるんですよ。
土肥: 39年前に誕生した初代ピノと、今のピノはレシピが違うのですか?
木下: 作り方そのものは変わっていませんが、世の中の変化に合わせて、ピノのレシピも変えてきました。ただ、お客さんから「ピノの味、変わったね」と思われてはダメ。「これがピノの味だよね」と思われるように、レシピは少しずつ、少しずつ変えてきました。
土肥: その技術力と考え方は、いろいろな人に参考になるかも。「味を進化させましたー」なんて言いながら、それまでのファンからすると「前の味のほうがよかった」といった不満の声を聞くことがありますからね。それは食べ物だけに限らず、他の商品やサービスでもよくある話ですよ。
ところで、気になったことがひとつ。初代ピノと今のピノを食べ比べると、味はかなり違うのですか?
木下: どうなんでしょうねえ。食べ比べた人間は、誰もいないでしょうね。
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