ニューバランスの愛国心がマネーに? 軍と愛国心ビジネスの関係:人に話したくなるコラム(1/3 ページ)
米国から軍に支給されるシューズの購入費の規定が変更された。手当てを使用する場合、「Made in U.S.A.」しか購入できなくなったのだ。しかし海外生産が多くなっている中で、米国製を見つけるのは至難の業。そこで救世主として手を挙げたのは……。
人に話したくなるコラム:
いつでも簡単に世界中の情報を手に入れられる便利な時代になった今、逆に情報の波にのまれてしまっている人も多いはず。だからこそ、世の中に溢れる話題豊富で知的好奇心をくすぐるモノに目を凝らし、センスを磨けるような情報を深く探る――。
著者プロフィール:
藤井薫(ふじい・かおる)
大学を卒業後、広告代理店や出版社を経てライターに。
『POPEYE』『an・an』(マガジンハウス)や『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)などで、ファッション、ビューティ、ビジネスなど幅広い記事をカバー。日本と海外を頻繁に行き来して、海外トレンドを中心に情報発信している。
そんな思いをベースに、世界の企業動向や経営哲学をはじめ、それをとりまくカルチャーやトレンドなどを中心にして、思わず誰かに言いたくなるようなネタを提供していくコラムです。
2014年4月、国から米軍に支給されるトレーニングシューズの購入費に関する規定が変更された。これにより、新規採用された兵士が、トレーニングシューズを購入する際に支給される約80ドル分の手当を使用する場合、「Made in U.S.A.(米国製)」のスニーカーしか購入できないことになった。
この規定は、Berry Amendement(ベリー改正条項)という連邦法のひとつで、米国防総省に対し国産物資の調達を優先するように求めるものだ。これまで、国家の安全という名目でやたらと他国の問題解決に出しゃばって、国外ばかりに目を向けてきた米軍も、今度はその愛国心を自国の経済と雇用創出のために示さなければならない。
しかし、国家の安全のために戦うよりも、米国製のスニーカーを確保することのほうが難題かもしれない。そもそも、「Made in U.S.A.」の条件を満たすスニーカーブランドを探し出すのが簡単ではないからだ。グローバル化する世界の中では、コストの安い国に生産をアウトソースするのが常識となっている。さらに部品にしても、米国内ですべて調達するのは高くつく。
このようなジレンマは、スニーカーに限ったことではない。2012年に開催されたロンドンオリンピックで、米国を象徴するファッションブランドがナショナルチームの公式ユニフォームに選ばれた。だが、選手たちが着用した製品が中国製だったという大失態が発覚した。
国際的なスポーツイベントですら、そんなレベルだから日常生活で使う消耗品で米国製を見つけるのは至難の業なのだ。
米軍はこの条項を満たすのに頭を悩ませていたが、日本でも人気のある米国ブランドが、米軍の救世主になろうと名乗りを上げた。マサチューセッツ州ボストンに本社を構える、スポーツシューズメーカーのニューバランスだ。「NB」こそが唯一、この難題をクリアできそうなのだ。
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