嘲笑から知恵は生まれない:教育に生きる人間から、社会を創る皆さんへ(2/2 ページ)
とある事象だけを見て、問題だと騒ぐのは簡単です。知見が深まるのは実態を知ろうとする姿勢があるとき、知恵がつくのは問題解決に取り組むときです。
問題点の嘲笑から知恵は生まれない
僕のFacebookでは、これを紹介した投稿のコメント欄でこんなやり取りがなされました。
桑崎氏: 内田先生のコメントはどの学校の誰にでも、それも強力なネットがあるPC教室でもよくある話です。それがタブレット型となればなおさら生じる可能性は高いです。それが先行導入の佐賀の嘲笑に変化していく投稿にはビックリです。政治的な分野ではよくあることですが、IT分野にもあるとなると、残念です。
A氏: 樋渡さん、この件は関係ないのにお気の毒。
しかし、これとどのつまりは導入時にポリシーもリテラシーもなかった教師側もまずいですけどね。
内田氏: いやいや、ウチの場合、導入を知ったのは、実は新聞報道が先だったんですよw職員ビックリ、端末とともに移動してきたワタシもビックリでしたw
A氏: 有志の方が委員会とか作って検討するようなのがいいですよね。
内田氏: 有志に現場の担当者をちゃんと入れるべきです。知らない間に勝手に決まっちゃうなんてこと、嘘みたいだけど、それこそ「ざら」にある話ですw
桑崎氏: だって、永田町で「超党派の議員勉強会」でICTの教育利用が取り上げられました。確か、16人も参考人がいて、大学の先生や業界の人、ネット関係者などばかりで、現場の実態を知る教師やICT支援員は誰もいません。学力が上がるとか、教育に有効だとか、意見が出たそうですが、上手に有効に使えばの話です。どこに課題があり、どう解決すればいいかの知見を持った人がメンバーにいない人選にいささかビックリしました。そんなメンバーの審議会で決めるから間違うのです。実は。
B氏: 失敗を糧として次に繋げることこそ大事。失敗した同じことを繰り返した時こそ世論から詰られる。ただ、どうしてこうなったのかの原因と責任は明確にすべきだと思ってます。次の佐賀のICT施策に期待します。
桑崎氏: 皆さんのご指摘の通りなんですが、先行ランナーなら人並み以上の視力が必要です。せめて2.0以上くらいの。残念ながらその施策を決めている先行ランナーのメンバーにその視力があればこれらの事態は避けられた気もしますので残念です。ただし、失敗は成功のもと、それも事実です。
B氏: >桑崎先生 そうですね。私らITの仕事を専門にやってる人間でも間違いは起こすし、ポカもやります。大事なのは「同じ過ちを繰り返さないこと」。それが次への歩みに繋がると思っていますので。
内田氏も桑崎氏もしっかり問題点を把握し、経験もし、その上でどうするか、という視点に溢れた人たちだと伝わってきます。
問題点の嘲笑から知恵は生まれません。問題点に向き合って解決に向かわせようとする姿勢から初めて知恵が生まれますし、社会にはもっと、そういう「問題解決志向」の人たちが増えてほしい。そうなるように、僕自身もできることはやっていきたいと思います。(寺西隆行)
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