成長するために身につけるべき「最後の大切な姿勢」とは:教育に生きる人間から、社会を創る皆さんへ
成長する第一歩は、楽しみながらできることを増やしていくことです。子どもの頃、多くの人が成長過程で感じることですが、楽しむだけで成長するには限界があります。成長するために身につけるべき、最後の大切な姿勢は「工夫すること」なのです。
成長する第一歩は「楽しみながらできることを増やす」こと
楽しみながら「できる」ことを増やしていく――。これが成長する第一歩です。幼児や小学生の頃、多くの人が成長過程でとる態度です。
しかし、楽しむだけで可能な成長には限界があります。どこかで、瞬間的に「楽しい」と思えないものにチャレンジしなければならないときがきます。ここで人は、いわゆる「汗をかいて努力する」ことを経験し、スモールステップを着実に踏むことで、「努力すればできる」という感覚を身につけ、成長につなげます。小学校高学年から高校生頃までのメインとなる成長の仕方だと思います。
この期間がかなり長いからか、それとも「楽しんで成長する」ことよりも「負荷をかけて成長する」方法論の重みのほうがズッシリくるからか――いつしか「汗をかいて努力すれば、必ず成長するんだ」と、あえて言うなら“錯覚”してしまいます。
ですが、汗をかいて努力すれば成長が確約される、と思いすぎるのはいけません。ひと昔前でいうと、毎日残業してモーレツに働き「俺がんばってるぜオーラ」を出していたサラリーマンなんかが、そう思ってしまうタイプでしょうか。
また、最近の若者は、こういう「バリバリ感」のオーラを出すのではなく、ピュアで言われたことを素直に“やるだけ”のタイプが割とそう思っているようで、成長できずにもがき苦しんでいる気がします。両者とも一生懸命なだけに、なかなか自分の姿勢を改善することができません。
成長するために身につけるべき、最後の大切な姿勢は「工夫すること」です。楽しいという気持ちや、ただひたすらやるという肉体や精神力に頼るのではなく、「考える」という知恵の部分を組み込む、とでも言いましょうか。
学生と社会人の間にある決定的な違い
なぜこの姿勢が必要になるのかというと、学生の頃と社会に出てからとでは、決定的に違う点で「周りや社会の要請に応える」ために成長しなければいけない、という要素が加わるからだと思っています。
高校生までの学業やスポーツ、あるいは考え方そのものを成長させていくときには、自分だけのことを考えていればいいのです。しかし、社会に出てから「仕事ができるようになる」「親として成長する」など、ほとんどのケースにおいて、周りや社会の要請に応えるレベルが上がっていくことを「成長」と言う気がします。そのためには、相手のことや社会のことを理解する「想像力」が何よりも必要となります。
いろいろなケースを経験しながら想像力を蓄え、TPOに応じて「工夫」し続けることで成長する、これが成長の最後ステージだと思います。余談ですが、「“努力は必ず報われるわけではない“と教えることが重要だ」という論は、この最終ステージにおける態を身につけさせるための論であって、「楽しんで成長する」ことしか知らない人に向けての論でないのは明らかです。
そして、「工夫する」ことすら楽しんでしまえば、人はいつまでも成長し続けられる人間になると思います。このステージに立った人間は、他の人から見ると「楽しみながら成長している」と感じられますが、幼児や小学生の頃の「楽しみながら」とは全然違うステージにいるのです。楽しむこと、汗をかくこと、工夫すること――。成長にはすべて大切とわきまえて、これらに折り合いをつけると成長が楽しくなる、というわけです。(寺西隆行)
※この記事は、誠ブログの成長するため身につけるべき、最後の大切な姿勢。より転載、編集しています。
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