「文脈(narrative)を創る」日本人になろう:グローバルエリートから見た世界(3/4 ページ)
海外で行われる国際会議・フォーラムに、日本人の出席者はあまりいない。これは何を意味するのか。「文脈を創る」グローバルエリートたちはどのようなことを考えているのだろうか。
「文脈」を創り出す側になる──まず身に付けるべきこと
文脈を単に聞き、与えられるだけではなく、自らこれを創り出す側へとまわっていくこと。私たち日本人が「グローバル化」を標榜するのであれば、これこそがまず身に付けるべきことだ。そうすればグローバル社会につきものの弱肉強食の競争や、その中で常套手段である奸計(かんけい)からも巧みに逃れることができる。なぜならば「仕掛けられる側」から「仕掛ける側」へと転ずることになるからである。
無論、こうした立場になるまでにはそれなりの能力と覚悟がいる。特に論理的思考能力と外国語能力(特に英語能力)が不可欠だ。だがそれ以上にまずは「そこで何が話され、かつこれから語られようとしているのか」ということについて、リアルタイムに紡がれていく文脈を知るべきなのである。訥々(とつとつ)とではあっても、一つ一つの意見をしっかり考え抜き、発言すれば、やがて日本人を見る目も変わってくる。
ここで注意を一つ付け加えておくならば、こうした国際会議・フォーラムで直接的な利益をすぐさま得ようとしないこと。これらを活用するには、まずどっしりと構え、中長期的にコミットしていく姿勢を見せるべきだ。どのみち日本からは自分だけ、もしくは自分を含めほんの少数しかいない。それをさびしがるのではなく絶好のチャンスととらえ、「グローバルな視野」から見解を堂々と述べればよい。
だが、これが案外多くの日本人にとっては難しいようだ。どうしても「ウィ・ジャパニーズ(We, Japanese=我々日本人は)」とやってしまう。最初のうちは面白がって聞いてくれていた他国の出席者たちも、徐々に眠そうな顔をし始める。なぜならば、いきなり「日本(Japan)」と言われてもあまりにも遠すぎ、彼らにとっては全くリアリティがないからだ。そうこうしている間に発言のために割り当てられていた時間が過ぎ、絶好のチャンスを逃してしまう。
関連記事
- プーチンが「人類の救世主」になる日
国際情勢が大きく揺れている。最も衝撃的だったのは「ロシアによるクリミア半島併合」だが、グローバルエリートたちはどのようなことを考えているのだろうか。 - 日本経済を救うには? 「歴史学習」と「シンクロニシティ」が必要
「アベノミクス」によって円安・株高になったが、肝心の成長戦略は尻すぼみ。従業員の給与は一部の大企業を中心にアップしたが、多くの人はそれほど上がっていない。そうした環境の中、私たちに必要なことは……。 - 大雪でも高級天ぷらを貪る総理――日本の未来は大丈夫なのか?
安倍総理が2月16日に行った「会食」がやり玉に挙がっている。関東・甲信で大雪が降ったにもかかわらず、総理は東京の高級天ぷら店で舌鼓を打っていた。こうした行動に批判の声が挙がっているが、筆者の原田氏は違う角度で見ている。それは……。 - 世界を救うのは誰? “右脳系日本人”に期待する
2012年12月以降、日本は「アベノミクス」をスタートさせた。「中央銀行がマネーを刷り増しているのだから、これから起きるのはインフレだろう」などと思ってしまうかもしれないが、世界の流れは違う。これから襲って来るのは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.