「文脈(narrative)を創る」日本人になろう:グローバルエリートから見た世界(2/4 ページ)
海外で行われる国際会議・フォーラムに、日本人の出席者はあまりいない。これは何を意味するのか。「文脈を創る」グローバルエリートたちはどのようなことを考えているのだろうか。
一つだけ参加しても意味がない
なぜこれが「困ったこと」なのか。こうした国際会議・フォーラムはその一つひとつに絶対的な意味があるわけではないからだ。これらは時期を変え、地域を変えて開催されたしても、実は各会議で議論される題材は一つの連なりを成している場合が多い。これを「文脈(narrative)」と呼んでおこう。多くの場合、国際機関の研究チームやシンクタンク、それに世界的に有名なコンサルティング会社が「震源地」となるこうした文脈は、どこからともなく登場し、繰り返し繰り返しこうした場で様々な出席者によって議論される。聴衆はこれを聞き、自ら意見を述べる機会を与えられる中、それに対する理解度を徐々に深めていく。そして最終的にはこうした文脈に押し出される形で実際の行動をとるに至り、現実が少しずつ動いていくというわけだ。
一番大切なのは、こうした「文脈」をまずは感じ取ること。1回だけの出席ではまず感じ取ることができないこの文脈も、2回、3回と繰り返し出席する中で徐々にはっきりと見えてくる。そしてある会議から、別のフォーラムへと移った際に「このテーマならばこういった論旨展開なのでは」などと思えるようになればしめたものである。
なぜかというと、そうやって繰り返し、とりわけ我が国のような「遠く離れた国」から出席を繰り返していると、次第にこうした国際会議・フォーラムの主催者たちの目に留まるからである。そしてやがて「それでは一度、パネリストでもやってみますか」ということになってくる。こうしてグローバルな舞台におけるデビューの機会が与えられるのだ。
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