ヒラリー、高額な講演料で“ボロ儲け”――米国民がついにキレた?:伊吹太歩の時事日想(2/3 ページ)
次期大統領候補と呼び声高いヒラリー・クリントン氏が、今米国中で非難を浴びている。その原因はなんと講演のギャラ。一体いくらもらっているのか。今回は米英における“元官僚”の副業に焦点を当てる。
講演1回で7000万円、驚異の副業収入
例えば夫のビル・クリントン元大統領。彼の講演料の高さは有名だ。2013年にイスラエルのシモン・ペレス前大統領が、90歳を迎えた際の誕生日パーティーでスピーチしたのだが、そのギャラが45分で50万ドル(約5080万円)だったことで当時大きなニュースになった。
ビル・クリントンはそれ以前にも、2011年に香港でスイス企業エリクソンの社員向けに講演を行ったが、そのときは75万ドル(約7630万円)の講演料を得ている。しかも、同じ年に上海のビジネス会議で話をして55万ドル(約5600万円)、ナイジェリアの新聞社でのスピーチで70万ドル(約7120万円)を受け取っている。
確かにクリントン元大統領が会社で講演すれば話題にはなるし、箔もつく。しかも彼の場合は、在任中にウォール街を好き勝手させていたこともあり、ゴールドマン・サックス、リーマン・ブラザーズ、シティバンクなどでもスピーチを行っている。そして大統領退任後の11年ほどで、8900万ドル(約90億5500万円)を稼ぎだしている。
そのほかはどうか。どこか笑えるキャラクターとして最近人気上昇中のジョージ・W・ブッシュ元大統領の講演料は11万ドル(約1100万円)で、2009年の退任後からこれまでで1500万ドル(約15億2600万円)を稼いでいる。ブッシュの相棒で米共和党タカ派の「ネオコン」として悪名高い、ディック・チェイニー前副大統領の講演料は7万5000ドルだ(約760万円)。
ビル・クリントンの相棒だったアル・ゴア副大統領は、退任後、環境保護活動家として名を馳せ、ノーベル平和賞も獲得した。アップル社の取締役に就いたり、テレビ局を立ち上げたりと、とにかくさまざまな引き出しを持っている。その講演料は10万ドル(約1015万円)だ。
米国以外でも、例えば英国のトニー・ブレア元首相は、退任後に中東和平交渉の特使を務めるなど影響力があることもあり、講演料は20万ドル(約2030万円)だ。日本の場合、最近公開された国会議員所得報告書によれば、福島原発事故時の首相であった菅直人元首相が、講演料として1年間で557万円を計上しているが、やはり米英と比べるとケタが違う。
さらに、欧米の元大物政治家となれば自伝などもそこそこ売れる。今話題になっているヒラリー・クリントンも6月に国務長官としての4年を振り返った自伝『Hard Choices』を発売し、16万部を売り上げている(ちなみに2004年に発売した前作『Living History』は100万部を越えた)。
米国大統領の給料はだいたい40万ドル(約4070万円)くらいだが、退任後も“元大統領”の冠がさらに多額の収入を生み出してくれるのだ。もちろん、こうした役職は勝ち残ったごく少数のみが経験できるものであり、その経験の価値は計り知れない。経験した者のみ語ることができる話もあるし、説得力もある。
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