ヒラリー、高額な講演料で“ボロ儲け”――米国民がついにキレた?:伊吹太歩の時事日想(3/3 ページ)
次期大統領候補と呼び声高いヒラリー・クリントン氏が、今米国中で非難を浴びている。その原因はなんと講演のギャラ。一体いくらもらっているのか。今回は米英における“元官僚”の副業に焦点を当てる。
講演料非難の裏に、経済の低迷が
ただそれにしても、この高額さには驚かざるを得ない。今、ヒラリー・クリントンの大学での講演料が大きな非難を受けているのは、ネバダ大学ラスベガス校の一件が発端だ。同校では今後4年にわたり学費が17%上がることが決まっているが、同校の学生組織は、その状況下で22万5000ドル(約2300万円)という多額の講演料を支払うのはいかがなものか、と声を上げたのだ。
学生組織はクリントンに対して、講演料を受け取らないよう手紙で直談判した。だが大学側は「2014年10月に行われる予定の講演は会費制で、そこから講演料を捻出できる」と語っており、講演を中止するつもりはないという立場を変えていない。とはいえ、講演料以外の費用でさらに数十万ドルが必要になる可能性もある。
クリントンは2013年に退任してからいくつもの大学で講演を行っているが、現在、州立大学は軒並み学費が上がっている。経済の停滞で州政府が大学などへの予算を削減し、緊縮傾向が高まっているためだ。クリントンが約25万ドルで講演したコネチカット大学も、最近学費を6.5%増加したばかりだ。
こうした反発の背景には、米国がもはや“強い米国”ではなくなりつつあるという事実がある。経済もイマイチで格差は広がる一方。連邦議会では国家機能が停止するなど、まともな政治が行われているとは言いがたい。
ウォール街で富裕層「1%」を非難するデモが起きたのも記憶に新しい(2011年だ)。何となく停滞している雰囲気が漂う中で、それでも「1%」の富裕層がぼろ儲けする――そんな国民感情が、今回のクリントン講演料問題につながっているのかもしれない。
ただそんな批判があっても、もらうものはきちんともらうのが米国人。リーマンショック後に政府から救済資金を受け取った大手金融機関の幹部らが高額ボーナスをもらって批判されたこともあったが、大学で騒動があったくらいで元閣僚の講演料が下がることはないだろう。クリントンもしれっと10月にラスベガスで大学関係者に向けて講演をしているはずだ。
そしてそこでも、まだ「大統領選に出馬します」と宣言せずに、引き続きメディアをじらし続けることは間違いない。
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