「地方よりも、むしろ東京が疲弊している」――地域おこしベンチャー「459」の挑戦:INSIGHT NOW!(3/3 ページ)
四国や瀬戸内海の島々の地域おこしに奮闘するベンチャー企業「459」。代表の真鍋氏が起業しようと思ったのは、地方の疲弊が叫ばれる中、とあるきっかけから「地方は元気で、むしろ東京の方が疲弊している」と感じたからだという。
毎日SNSで情報を発信、“メディアになる”ことを目指す
また459では、日常的に生産者と消費者を近づけるために、積極的にSNSを活用して情報発信を進めている。情報の発信にはいろいろな方法がある。しかし、メディアに“取り上げられる”ことはコントロールできないし、メディアを“つくる”のも労力や費用がかかるので難しい。
そこで、真鍋氏は3つ目の選択肢として“メディアになる”ことを選んだ。現代はSNSが発達しており、自ら情報を発信するのも楽に行える。自分が本当に良いと思えるものを直接伝えるとともに、「あいつがやることならば、面白いに違いない」と思ってもらえるように個人のブランディングも図っている。そのためには、毎日欠かさずに情報発信することが重要だと真鍋氏は語る。
「新聞は毎日届きますし、テレビも電源を入れたらいつでも流れているように、私も毎日SNSで、会社の取り組みや思いについて投稿するようにしています。そうすることで、逆に『真鍋にこの情報を教えてあげよう』『真鍋に相談してみよう』と情報が入ることにもつながっています。情報を発信する人のところに、情報が集まってくるのだと思います」(真鍋氏)
そんな信条を持っている真鍋氏だが、とはいえ459はメディアで報道されることも多い。それはきっと“自分がメディアになる”べく常に情報発信しているからこそ、メディアの目にも留まるのだろう。
田舎で最も必要なのは“パワーポイント”ではなく“パワー”
459はこれからどのように展開していくのか。今後の抱負について聞くと「田舎で最も必要ないものは“パワーポイント”であり、最も必要なものは“パワー”」という言葉が返ってきた。
「人は論理では決して動かず、どれだけ思いを伝えられるかにすべてがかかっている。特に地方に行けば行くほどその傾向は顕著だという。企画書などは一切作らず、思いついたらまずやってみる、そしてやりながら形にしていく――そんなスタイルで今までもやってきたし、これからも続けていきたい。5年後、10年後うんぬんではなく、目にしたこと、肌で感じたことを大切にして、目の前のことを1つずつ形にしていきたいと思います」と真鍋氏は力強く語ってくれた。(小槻博文)
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