夫婦が家族をもう1人増やせない……「2人めの壁」について考える:少子化問題(2/2 ページ)
2人目の子どもが欲しい、でも現実には難しい……そうした夫婦を応援する活動をしている団体が、「かぞくを、もうひとり」と題して少子化について考えるシンポジウムを行った。その内容とは?
夫婦間の子どもの数を増やすにはどうしたら?
とはいえ、夫婦間の子どもの数が減っているのも現実だ。完結出生児数(一組の夫婦が最終的に何人子どもを作ったか)を見ると、1970年代以降ずっと2.0〜2.2程度だったのが、2010年には1.96と2を割っている。子どもがいない、子どもはいるが一人っ子という家庭が増える半面、3人以上の子どもがいる夫婦は減っているためだ。
日本社会全体の傾向として未婚化・晩婚化が進み、女性の初産の年齢が上がっていく。夫婦以外からほとんど子どもは生まれないという現状の中で子どもを増やしていくには、未婚化を解消するとともに、夫婦が育てる子どもの数を増やしていく以外に方法はない。「ふたりめの壁」は少子化問題に直結しているのだ。
安藤哲也氏からは、「かつての日本男性は育児をしなくて良かった。しかし、今は経済的な理由から共働きしないとやっていけない」という労働環境の変化が指摘された。その一方で、知人の女性が「夫がまったく家事や子育てを手伝わないので、2人目は絶対に産まない」と言ったというエピソードを紹介しつつ、父親向けの育休制度などの環境整備も少しずつ進んでいるにもかかわらず変わらない男性の意識が、女性の「第2子出産への意志」を削ぎ、また結婚への失望につながっていると苦言を呈した。
「少子化」の問題は、掘り下げていくと「非婚化」「晩婚化」にもつながっている。またその背景には「収入の減少」という所得再分配の問題、母子家庭・父子家庭という家族の形態についての問題、養子縁組についての意識など、多様な問題も絡んでくる。より有効な施策を見つけ、実現するために「1 more Baby応援団」のさらなる活動に期待したい。
関連記事
- 「子供は2人以上ほしい、でも……」――タマホームが3分間のテレビCMで問いかける
映画『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が作った3分間のテレビCM「ふたりめ会議」。妹がほしいという長女の願いを全力で肯定する父親と、先々の懸念から思いきれない母親の議論はどこへ向かうのか? - ワーキングマザーはお荷物か?――あなたの会社が「ホワイト企業」になる方法
第一子を出産した女性の6割が会社をやめる日本。最近はワーキングマザーも増えているが、どう扱っていいか分からない……という企業も多いのではないだろうか。本記事ではワーキングマザーをどう評価し、どう戦力にしていくかを考える。 - イクメンは子供と一緒に自分も楽しめる育児が好き
育児に積極的にかかわる男性=イクメン。彼らはどのような育児を行っているのか? イクメン雑誌『FQ JAPAN』が実態調査を行った。 - 気になる住宅ローン金利の上昇。どのように付き合えばいいの?
大手銀行は、5月に引き続き6月も住宅ローン金利の引き上げを決定しました。金利の上昇は、住宅ローン返済額にどの程度影響するのでしょうか? 検証してみました。 - ワークシェアリングとは違う? 次世代の働き方「コラボワーク」とは
次世代の働き方として注目されている「コラボワーク」をご存じだろうか。多くの人は「ワークシェアリングと同じようなもの」と受け止めているようだが、実は違う。事例を紹介しながら、コラボワークについて紹介しよう。 - 「会社の英雄」になってどうするの? 長時間労働の末に悟った「人間らしい働き方」とその実践法
仕事が山積みになったら、とにかく働き、いざとなったら週末も返上して仕事をすればよい――。もしこんな考えをもっているとしたら、それは間違っています。逆にさらに問題が生じるだけです。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.