「オープンデータ」を推進、東京メトロの狙いは?:地下鉄全線の列車位置を公開(2/4 ページ)
東京メトロが全線の列車位置や遅延時間といった情報を公開し、そのオープンデータを利用したアプリ開発コンテストを開催する。民間主導で行うのは珍しいケースとのことだが、東京メトロの狙いはどこにあるのか。
なぜ東京メトロがオープンデータを進めるのか?
本コンテストは、東京メトロ創立10周年記念行事の一環として行うものだ。具体的には2つの狙いがあると同社常務取締役の村尾公一氏は話す。まずは、革新的なサービスを生み出せる可能性だ。「会社の中でサービスを作ろうとすると、どうしても従来の発想にとらわれてしまう。外部の人の方がイノベーティブなサービスを生み出せる可能性がある。社内におけるサービス向上の取り組みも加速するだろう」という。
もう1つは2020年に開催される東京オリンピックを見据えたものだ。「世界的なオープンデータの動きへの対応策の一環として各種ノウハウの取得を図る。今後、サービス向上のため、さらに多くの情報を公開するニーズも生まれるだろう。データの提供方法などを精査するための実験、という側面もある」(村尾氏)
本コンテストは「東京メトロの新たな10年を考える上でのテストケース」(村尾氏)と位置づけているが、企画を始めるにあたって、社内で反発もあった。運行データを公開するのは危険だという声だ。
「現場からは『私たちはダイヤをしっかりと守るようがんばっているのに、悪質なアプリが出て、利用者を混乱させてしまうかもしれない』と不安視する声もあった。もちろん経験したことがない取り組みであり、不安なのは分かる。誰かがリスクを負わないとデータのオープン化は進まない」(村尾氏)
もちろん対策はある。ユーザーのデメリットになる悪質なアプリと認定した場合には、データの提供を止める。オープンデータの公開により、悪質なものを心配する以上に良質なものが誕生し、メリットが上回るというのが世界的な考えだ。
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