第3回 「iBeacon」と「スマホアプリ」の深い関係:ビジネスパーソンが理解しておくべき、新時代のキーワード(2/4 ページ)
iBeaconは、自分のスマホに「該当アプリ」を入れてはじめて意味をなす。これは、要はどういうことなのか。そして、iBeaconの本格普及をふまえたOSの新バージョン「iOS 8」に導入予定の機能と、その意味を解説する。
iBeaconが定期発信するのは「自分がどのビーコン発信器か」を識別する信号のみであることはこれまでも何度か説明した。個々のビーコン発信器には独自の番号が割り当てられており、基本的に重複しないようになっている。“基本的に”としたのは、この番号そのものはモジュールの書き換えなどで偽装が不可能ではないためだ。悪意ある第三者が「“偽”のビーコン発信器」を設置して利用者を混乱させる可能性が少なからずあるのだが、このあたりは後で解説する。
一度ビーコン発信器が設置されると、あとは初期設定時に登録された「独自の番号」を「指定された時間間隔」で発信し続ける。この信号発信を「アドバタイズ」と呼ぶ。
アドバタイズで発信される情報そのものは「常に同じ」である。例えば「最新のニュース」や「最新のクーポン」といったような動的な情報は含まれない。信号の受信者であるユーザーの持つスマートフォンは、まずはこの信号の「該当するビーコン発信器が持つ独自の番号」と「(信号強度から計測した)ビーコン発信器との距離」のみを知る。この2つから得られる情報をもとに“処理する”ことで、iBeaconでできる事例の数々を実現するというわけだ。
重ねて述べるが、iBeaconにおける挙動の数々を制御しているのは、スマートフォンにインストールされた「アプリ」だ。アプリは先ほどの2つの情報を受け取り、それに応じて“ふるまう”。利用者には、あたかもiBeaconで発信する信号がさまざまな情報を送り届けてくれるかのように見せる。
「お店の前を通ったら、セール情報が自動で表示された」を例にしよう。
店から発信されているiBeacon信号をスマホがキャッチする。すると、スマートフォンにインストールされた「該当のアプリ」が自動で起動する。このアプリは、起動とともにインターネット通信を行う。キャッチしたiBeaconの「独自の番号」をもとに、利用者は現在「どの店の、どの場所にいるのか」を割り出して、それに適する必要な最新のセール情報をサーバから引っぱってくる。
この裏で行っている一連の流れは見せず、スマホの画面は「最新のセール情報」だけをピコンと表示する。こうすることで、ユーザーの目からは「iBeaconが最新のセール情報を送信してきた/プッシュ通知された」ように感じるというわけだ。
実際のところ、この例のiBeaconは「アプリを起動するきっかけ」を与え、「現在どこいるのか」を伝えているに過ぎない。店の場所に関しても、GPSのように現在の細かい位置で調べて……というのではなく「このビーコン発信器は、××という店の、どの場所へ置いたもの」と、アプリ、あるいはサーバ(ビーコン管理システムなど)にあらかじめ登録してある情報を参照して識別する。
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