第3回 「iBeacon」と「スマホアプリ」の深い関係:ビジネスパーソンが理解しておくべき、新時代のキーワード(4/4 ページ)
iBeaconは、自分のスマホに「該当アプリ」を入れてはじめて意味をなす。これは、要はどういうことなのか。そして、iBeaconの本格普及をふまえたOSの新バージョン「iOS 8」に導入予定の機能と、その意味を解説する。
iBeaconの本格普及「iOS 8」の効果に期待
さて、店はサービスを使ってもらうため、「ユーザーにアプリをインストールしてもらうためのプロモーション」を行う必要がある。これはとても大変なことだ。ただ、2014年秋にリリースが予定されるOSの新バージョン「iOS 8」で、この活動の難易度はかなり下がることになるかもしれない。
これまで自社のiBeaconサービスを使ってもらうには、自社サイトでの告知、テレビ・新聞・雑誌・Webなどの記事、広告、SNS、店頭での案内、クチコミ……何らかの方法で「アプリ」を利用者に認知させ、インストールしてもらう必要があった。新しいiOS 8では、iPhoneのロック画面の左下に「何らかのiBeacon信号を受信したら、それに対応するアプリのダウンロード先を示す」仕組みが導入される。
すでにそのアプリをインストール済みならアプリのアイコンが、そうでなければApp Storeへのアイコンが表示され、画面ロックを解除すると「App Storeの、該当アプリのダウンロード・説明ページ」が表示される。「その場所に、あるiBeaconサービスがあり、それに対応した該当アプリもあることを“知らせてくれる”」という機能だ。利用者も、提供側も、Beaconサービスを使うはじめの一歩の利便性がとても高まるはずだ。
基本的に、iBeaconは「入り口」である。そこから先にどんなサービスが利用できるかは、すべて「アプリ(とスマートデバイス)」が担っている。前回、iBeaconを屋内でのナビゲーションに利用したり、店舗での商品購入の支払いが行えるような仕組みもiBeaconで可能に──と説明したが、これらはすべてiBeaconで得た情報を引き継いだアプリが、アプリ内に記録されている情報や、インターネットを介したサーバとのやり取りで得た情報を元に実現しているサービスである。
なお、iBeaconは確実性やセキュリティ性が担保されていないのが課題もある。このあたりはアプリの工夫で対応されることになる。対応する機種は、2014年8月現在は「iOS 7以降を導入したiPhone 4S以降の機種」、あるいはBLE対応のAndroidスマートデバイス。AndroidでのBeacon機能は開発側としてiOSデバイスとは別の工夫も必要なようで、まずはiOSから、続々Androidもといった流れで対応させていく流れだ。Androidの次期バージョン「Android L(開発コード名)」もOSとしてBluetooth 4.1/Bluetooth Smartをネイティブサポートすることを示したので、対応機器はiOSデバイスと同様に広がっていくはずだ。
(続く)
次回は、より詳細なiBeacon利用に関する技術的な注意点、そして対応プラットフォームの将来展望や「NFCを置き換える技術なのか?」について考察する予定です。
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