どんな人が向いているの? 葬儀会社で働く人が感じる壁:仕事をしたら“葬儀を安く”できた(後編)(4/5 ページ)
数年前に映画『おくりびと』がヒットしたが、葬儀会社で働くのにはどんな人が向いているのだろうか。葬儀業界で40年近く働いているティアの冨安社長に話を聞いた。
1分の1の葬式でなければいけない
土肥: 霊前の前に、故人が好きだったモーニングセットを置くことは、オリジナル葬儀になりますね。
冨安: ですね。今後、「私たちのお葬式はどのようにしてくれるの?」という人が増えてくると思っています。葬儀会社としては、臨機応変にその人に合った葬儀をしていかなければいけません。
年間1万件の葬儀を行うようになっても、1万分の1の葬式ではダメなんですよ。1分の1の葬式を1万回行わなければいけません。家族構成も違うし、友人・知人も違うし、そもそも同じ人間(故人)なんていません。すべて違うのに、お葬式だけ他人と同じというのはおかしい。これまでの葬儀会社は「あなたの宗派は日蓮宗ですね。じゃ、これで」「あなたの宗派は曹洞宗ですね。じゃ、これで」といった感じでやってきました。でも、これからはこれではいけません。
遺族は大切な家族を亡くされているので、気が動転していることが多い。そんな状況なので、お葬式のことまでなかなか頭が回らないんですよね。なので、その代わりに葬儀会社が手伝わなければいけません。繰り返しになりますが、そこで1万分の1の葬式を行っても、感動は生まれません。感動が生まれないということは、記憶に残らないということ。遺族に「お婆ちゃんのお葬式をした葬儀会社ってどこだったっけ?」と忘れられるようなところは、生き残っていくのが難しいのではないでしょうか。
「人は人に感動して、その企業の虜になる」という言葉がありますが、お客さまというのは「社員に感動して、その企業の虜になる」と思っています。
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