なぜ中国で“甘いマヨネーズ”が売れたのか キユーピーの地道な作戦:仕事をしたら“粘り腰”で売れた(3/7 ページ)
中国で“甘いマヨネーズ”が売れていることをご存じだろうか。キユーピーが中国で展開を始めたのは1993年。当時の家庭に「マヨネーズ」はなかったが、どのようにして普及していったのだろうか。同社の広報部に聞いた。
砂糖が入った「甘いマヨネーズ」
土肥: 6年も! 今の時代だったら、3年くらいで結果が出なかったら「撤収、撤収」と言っていたかもしれませんね。中国に展開されて6年後の1999年に何があったのでしょうか?
広報: 甘いマヨーネーズを販売して、それが売れました。
土肥: 甘いマヨネーズ? なんですかそれは?
広報: 1999年に、砂糖入りの甘いマヨネーズを販売したんですよ。日本のマヨネーズとほぼ同じモノを中国で売ろう、売ろうとがんばっていたのですが、なかなか結果がでませんでした。そこで、現地の食文化に合うモノをつくってみてもいいのでは? ということで甘いマヨネーズをつくりました。
土肥: うーん、でも生野菜に甘いマヨネーズって……想像できないですね。
広報: いえいえ、生野菜にではなく、カットフルーツにかけるんです。中国の街角には果物屋がたくさんあって、フルーツを食べる人が多い。そのフルーツに甘いモノをかけているんですよね。
日本では見たことがない食習慣を目の当たりにした現地の担当者は「フルーツに何をかけているんだろう?」とびっくりして、食べてみることに。それは「甘酸っぱいモノ」だったので、「マヨネーズに甘味を加えたら、中国の人たちにウケるのではないだろうか」と思ったそうで。これがきっかけになって、甘いマヨネーズが商品化に踏み切りました。
土肥: 日本人の常識からすると、フルーツに甘いモノをかけるなんて信じられないですよね。
広報: 海外展開をするときに、大事な考え方があると思っています。それは「現地の食生活にどうすれば貢献できるのか」ということ。「これが日本のマヨネーズだ」といった感じで押しつけても、現地の人たちには受け入れられません。現地の人、現地の食生活のために……という考えが基本にあったので、甘いマヨネーズが生まれたのだと思います。
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