なぜ中国で“甘いマヨネーズ”が売れたのか キユーピーの地道な作戦:仕事をしたら“粘り腰”で売れた(2/7 ページ)
中国で“甘いマヨネーズ”が売れていることをご存じだろうか。キユーピーが中国で展開を始めたのは1993年。当時の家庭に「マヨネーズ」はなかったが、どのようにして普及していったのだろうか。同社の広報部に聞いた。
ゼロからのスタート
土肥: 「キユーピーといえばマヨネーズ、マヨネーズといえばキユーピー」――。日本人の多くはこのようなイメージを持っていると思うのですが、海外ではちょっと違うようですね。キユーピーの売上高の内訳をみると、海外売上高比率は5%を割っていました。ここ数年、その数字は横ばいが続いていたのですが、直近の数字(2013年12月〜2014年8月期)をみると、5%を超えている。売り上げが伸びている要因は、中国市場だそうですね。
ただ、ここでひとつ疑問が。中国といえば、生野菜を食べる食習慣がなかったと思うのですが、なぜマヨネヨーズの売り上げが伸びているのでしょうか?
広報: 中国の北京に拠点を置いたのは1993年なのですが、当時の中国では生野菜を食べる習慣はありませんでした。ということで、ほとんどの人がマヨネーズを食べたことがなかったんですよ。
まさにゼロからのスタートになったわけですが、最初は「シャケとかエビとか魚介系の缶詰と一緒にマヨネーズはいかがですか?」といった形で売り出そうとしていました。しかし、中国ではそうした缶詰はあまり売られていなかったんですよ。じゃあ、どうするかということで、当時の担当者はポテトサラダに目をつけました。ポテトサラダにマヨネーズを10%ほど加えて「いかがですか?」とスーパーの店頭などで試食販売を行ってきました。
土肥: ポテトサラダ作戦はうまくいったのでしょうか?
広報: 地道にやっていたので、ジワジワといった感じですね。当時の中国には「ポテトサラダ」というメニューがなかったので、まずポテトサラダを認知してもらうことから始めました。
土肥: そんな状況がどのくらい続いたのですか?
広報: 6年ほどですね。
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