地方都市で新しい企業が生まれるにはどうしたら?――福岡市の試み:サイボウズ 青野慶久氏×福岡市 合野弘一氏(6/6 ページ)
9月の内閣改造で地方創生担当大臣が新設され、いま再び「地方」が注目されている。地方行政がさまざまな形で地域経済の活性化に取り組んでいる中で、福岡市がユニークな試みを始めている。それは……。
東京を小さくした都市ではダメ
青野: 私は何度も福岡市に行ったことがあるのですが、東京を小さくした都市ではダメだと思うんですよ。地理的なメリットを挙げれば、やはりアジアに近いことですよね。福岡空港から東京と上海はほぼ同じ時間で行けるので、この地理的メリットを生かせばいいのではないでしょうか。
いろいろなことをやっても「やっぱり東京のほうがいいね」となれば、多くの人は魅力に感じないでしょう。「なるほど、福岡市に行く必然的な理由があるよね」「アジアを相手に仕事をする場合は福岡市だよね」というブランドが確立されれば、それに関連する企業が集まってくる。企業が集まれば、人も集まってくる。企業と人が集まれば、アジアの情報が集まってくる。その結果、福岡市で仕事をする必然性が生まれてくる。必然性がでてくると、それが文化に変わっていくのではないでしょうか。
合野: おっしゃる通りだと思います。地理的メリットを生かす必要がありますね。企業が集まって、人が集まって、情報が集まれば、福岡市で働かなければいけない、という人が増えてくるでしょう。そのためには、いろんな業界の人たちが、いろんなところで交流することが大切だと思っています。
そのためにも、福岡市で、国内外の起業家によるビジネスプランコンテンスト(Fukuoka Global Venture Awards:フクオカ・グローバルベンチャー・アワーズ)を開催(2014年10月18日)するんですよ(参照リンク)。海外展開を目指す国内ベンチャー企業、日本への進出を視野に入れている海外ベンチャー企業にプレゼンテーションをしていただいて、優秀な企業にはさまざまな形で支援していく予定です。こうしたコンテンストを通じて、福岡市が国内外の起業家の交流拠点になれればうれしいですね。
(終わり)
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