生産台数9000万台超! ホンダのスーパーカブがスゴい:仕事をしたら“世界で”売れた(2/7 ページ)
世界中で販売されているスーパーカブ(ホンダ)の累計生産台数が9000万台を超え、あと数年で1億台を突破しそうだ。50年以上前に発売されたスーパーカブは、なぜ今でも売れ続けているのだろうか。ホンダの広報部に聞いた。
売れている要因のひとつは「エンジン」
土肥: スーパーカブは1958年に発売されました。当時、日本でどんなことが起きていたのかちょっと調べてみたところ、東京タワーが完成したり、フラフープが流行したり、野球盤がヒットしたり。まさに“三丁目の夕日”の時代に、スーパーカブは登場したわけですが、それから56年が経っているのに今も売れ続けています。2014年3月には8700万台に達して、今は9000万台を超えているそうで。日本だけでなく、たくさんの国で売れているのですが、その要因はどこにあると分析されていますか?
広報: なかなか「これだ!」とひとつだけに絞るのは難しいのですが、ヒットが続いている要因のひとつに「エンジン」を挙げることができるのではないでしょうか。当時は「2ストローク」のエンジンが主流だったのですが、スーパーカブは「4ストローク」を採用しました。
土肥: そんなに違うものなのですか?
広報: かなり違いますね。2ストのメリットは、小排気量で高出力が出せたり、構造が単純なので重量を軽くできたり、生産コストが割安なので販売価格を安くできたりします。しかし、最大のデメリットは環境面。排気ガスが汚いので、環境に与える負荷が大きい。
一方、4ストのメリットは、燃費がよかったり、耐久性が高かったり、排気音が小さかったりします。そして、2ストのデメリットは環境に与える負荷が大きいと申し上げましたが、4ストから排出される排気ガスの中には有害物質が少ないんですよ。
土肥: うーん、ただ、2ストのほうが安く生産することができるんですよね。また、当時は今ほど環境問題は深刻ではなかったので「もうける」ためには、2ストでもよかったのではないでしょうか?
広報: いえ、スーパーカブは「耐久性」にもこだわっていたので、2ストではなく、4ストを採用しました。なぜ耐久性を重視したかというと、当時の日本は舗装率が低かったので、壊れにくいバイクが必要だったんですよね。
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