生産台数9000万台超! ホンダのスーパーカブがスゴい:仕事をしたら“世界で”売れた(6/7 ページ)
世界中で販売されているスーパーカブ(ホンダ)の累計生産台数が9000万台を超え、あと数年で1億台を突破しそうだ。50年以上前に発売されたスーパーカブは、なぜ今でも売れ続けているのだろうか。ホンダの広報部に聞いた。
「白色」の作業着を着用
土肥: スーパーカブは日本で売れて、米国でも売れて、南米でも売れて、東南アジアでも売れました。現在、14カ国で生産されていて、160以上の国と地域で販売されてきたわけですが、生産するうえで大変なことは何でしょうか?
広報: やはり「品質」ですね。どの国でつくっても同じ品質を保たなければいけません。しかし、これが難しい。
スーパーカブは数千点の部品でできていて、組み立てる際には当然マニュアルがあります。例えば、「このネジをしめるのにはこのチカラで……」などと書いています。そのチカラは強すぎても弱過ぎてもダメなんですが、強くしめ過ぎるとどうなるのか。完成したスーパーカブの見た目は他と同じなのですが、乗ってみると違う。「ちょっと真っすぐ走らないなあ」「ちょっとヘンな音がするなあ」といった感じで。
バイクを製造するにあたって、機械がすべてをつくってくれるわけではありません。手作業による部分はたくさんあるので、品質を保つために、現場の研修はきっちりとやっていかなければいけません。
土肥: なるほど。現場といえば、ホンダの工場で働く人って、白色の作業着を着ていますよね。
広報: 実は、この「白色」にも意味があるんですよ。工場で作業をしていると、どうしても汚れる。しかも白色だと汚れが目立ちますよね。
土肥: その汚れを見て「あー、今日もよく働いた」と感じるためですか?
広報: 逆ですね。汚してはいけないんですよ。新人は技術的にまだまだ未熟なので、どうしても汚してしまう。同じ仕事をしていても、先輩の作業着はキレイなんですよ。汚れているということは、新人の作業に“ムダ”な動きがあることなんですよ。なので、上司に「なぜ作業着がそんなに汚れるんだ!」と怒られるわけです(苦笑)。
土肥: それは分かりやすい。新人は「早く一人前になるために、作業着を汚さないようにしよう」となるわけですね。
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