ファストフードの時代は終わった? 変わりゆく米国の食事情:人に話したくなるコラム(3/4 ページ)
米国のファストフードと言えば「マクドナルド」を思い浮かべる人も多いのでは。米国のみならず、世界中の食文化に大きな影響を与えてきたファストフード・ビジネスが、いま大きく変わろうとしている。
他のファストフード店と違う点
当初は、単純に最高にウマいブリトーを提供することを目標としていたが、エリス氏は店舗で使用している食材の品質に納得がいかなくなる。そこで、2000年にオーガニックなモノやホルモン剤を使用していない食材を求めて仕入れ先を開拓することになる。
こうして手に入れた高品質の食材は、フレッシュな状態で店に届けられる。食材は機械をいっさい使わず、すべて人の手でカットされている。しかも店舗には冷凍庫を置かず、常に新鮮な食材で勝負している。
ただオートメーション化されていないため、提供されるメニューの味がどこの店でも統一されている従来のファストフード店と違い、チポートレでは店舗によって味に若干の違いが生じることもある。しかし、シーズンによって食材の味も変わるし、同じ街でも、それぞれにお気に入りの店舗があってもいいのではないかとエリス氏はポジティブに考えている。
もうひとつ、他のファストフード店と違うのは、メニューが少ないことだ。チポートレでは、ブリトー、タコス、ブリトーボウル(トルティーヤ抜きのブリトーで見た目はサラダ)とサラダの4つがメニューの基本になっている。メニューを決めたら、中に入れるトッピングをショーケースの中から選んでいく方式だ。確かにメニューは少ないが、トッピングをカスタマイズすることで何千通りものオリジナルメニューが可能になる(同社は65000通りのメニューが可能とアピールしていたこともある)。
ブレックファーストメニューからデザートなど含めると約150アイテムぐらいあるマクドナルドのメニューとは正反対だ。だがメニューがシンプルだからこそ、オーダーを取ってから客にサーブするまでの時間が短くてすむ。メニューが増えれば、調理も複雑になる。近年、マクドナルドでの待ち時間が長いという顧客の不満は、「低価格でクイックサービス」がコンセプトのファストフード本来の「売り」が揺らいでいることにも原因がある。
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