女の子の学力をぐーんと伸ばしてきた、長野雅弘さんをインタビュー:働くこと、生きること(5/7 ページ)
「自分が行きたい学校に行ける」「自分がなりたい職業に就ける」――。さまざまな不安から伸び悩む生徒たちを、次々に有名大学に導いた教育者は、何を考え、何を行ってきたのだろうか。
30年を経たころ、引退しようと思っていた
初就任以来、子どもたちと真正面から向き合い続け、その学校での仕事が落ち着くころには52歳になっていた。
「仕事が一段落したときは、引退しようと思っていました。疲れきってたんですよね。そこで妻と、『蔵王のふもとに古い別荘を買って、のんびり暮らそうか』と話していたんです。ところがそんなとき、東京聖徳学園から連絡を受けた。うかがったら、『校長になってくれ』と何時間も話をされて(笑)。先代理事長先生の情熱にうたれ、受けることにしたというわけです」
かくして2009年に、聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学校の校長に就任。2012年からは、聖徳大学児童学部教授も務めている。仕事に対して、今後はなにを目標としているのだろう?
「あまり、仕事としては捉えていないですね。これは、ずっと続けていかなきゃいけないことだなって思っているんです。私の使命です。結果が出るかどうかは分からないけれど、ひとりひとりと向き合ってしっかり育てていくことが大切ですから。もしもそれを怠った先生がひとりでもいれば、その影響を受ける生徒が生まれることになる。そうならないようにしていかなければならない。
(立場が変わったために)生徒と接する機会は減ってきていて、現在は先生たちを育てることがメインになっていますから、『もっと現場にいたかったなあ』と思ってて(笑)。いま向き合っている先生方ももちろん変わりますが、子どもたちは本当に大きく変わります。なんにでも変わります。まさに奇跡です」
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