丸亀製麺のうどんが、インドネシアでウケた理由:仕事をしたら“インドネシア”で売れた(4/5 ページ)
日本全国で讃岐うどんが広がったのは2002年ごろと言われているが、海外でもファンが増えつつあるという。トリドールが運営する「丸亀製麺」は海外進出に積極的で、数年前にオープンしたインドネシアとタイの売り上げが好調だ。その理由は……。
マーケティングはしていない
土肥: トリドールでは1日の来店客数が1000人を超えるお店のことを「繁盛店」と呼んでいるそうですが、インドネシアでは「繁盛店」が多いそうですね。現地に進出する前に、どのようなマーケティングをされたのでしょうか?
経企: 実は、ほとんどしていないんですよ。
土肥: えっ? マーケティングの教科書をみると、「あれをしなさい、これをしなさい」「あれをしてはダメ、これをしてはダメ」と書かれていますが、そういったことをしていない?
経企: マーケティング活動をしっかりやって、「ここにお店を出そう」といったことはしていません。
土肥: 丸亀製麺の海外1号店は、2011年の「ワイキキ店(ハワイ)」ですよね。そのときもマーケティングはしていない?
経企: していないですね。社長の粟田がハワイへ行ったときに、たまたま空き物件があったんですよ。そこで「この物件はいいなあ」と感じて、出店することになりました。
土肥: 現地調査を徹底的に行うことなく、直感で決められたと?
経企: はい。
土肥: 丸亀製麺は現在、世界10カ国・地域に展開されていますが、ひょっとして……。
経企: 粟田の直感が多いですね。「これはいける」と感じたら、指示が飛んでくるんですよ。
土肥: 膨大なデータをにらめっこしながら、結論を出す仕事をしている人たちが聞いたら、びっくりするでしょうね。いや、中には批判する人もいるでしょう。「なんて昭和的な商売をしているんだ」といった感じで。
経企: もちろんデータがダメだという話ではありません。リサーチ会社に仕事を依頼して、コストと時間をかけるのではなく、まずは1号店を出す。その店で得たデータや知見を生かして、今後の戦略を練っています。
土肥: お店を出すことが、最大のマーケティングになるわけですね。なぜそうしたことができるかというと、丸亀製麺は店内に製麺機や大きな釜を置いているからではないでしょうか。工場でうどんを製麺して、各店舗に配送するという形だと、初期投資にお金がかかってしまう。工場を造ってしまうと、それに見合った数のお店をつくっていかなければいけない。目標がどんどん上がってしまうので、どうしても慎重な行動になってしまいますよね。「失敗したら大変だよな。どうする? リサーチ会社にマーケティングをお願いしよう……」と。
しかし、丸亀製麺の場合、工場は必要ない。初期投資がそれほどかからないので、「とりあえず出店してみるか。ダメだったら撤退しよう」といった感じで大胆な行動ができるわけですね。
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