丸亀製麺「うどん」だけでなく、「鉄板焼き」で勝負する事情:仕事をしたら“タイ”で売れた(3/5 ページ)
トリドールが運営する「丸亀製麺」のうどんが、海外の人たちにウケているという。中でもタイでの売り上げが好調だというが、どんな展開をしているのだろうか。海外事業を担当する経営企画室の人に聞いた。
「鉄板焼き」を導入した理由
経企: タイでは外食産業の競争が激しくて、日本にあるチェーン店はほぼあるといった状況なんですよ。そうした環境の中で、特徴を出していかなければいけません。いろいろ調査したところ、豊富なメニューをそろえているお店が多いことが分かってきました。ということで、鉄板焼きを始めてメニューを増やしました。その結果、「焼うどん」(99バーツ:約346円)というヒット商品が生まれました。
土肥: 競争が激しいのは分かるのですが、なぜ鉄板焼きだったのでしょうか?
経企: 弊社(トリドール)は、焼きそば専門店「長田本庄軒」を運営しています。鉄板焼きのノウハウは蓄積されているので、それをタイに応用した形ですね。タイでは、屋台などで焼きモノを好まれる人が多い。馴染みがあるので、鉄板焼きがウケたのではないでしょうか。
土肥: なるほど。それにしてもメニューを考えるのは大変ですね。
経企: もちろん簡単にはできません。ただ、弊社では数百種類のレシピがあります。なので、その中からタイの人たちが好みそうなモノを選んで、そこから味つけを調整していく感じですね。
土肥: 数百種類ってスゴい。それにしても、鉄板焼きいいですねえ。日本でも「焼きうどん」を食べたいですよ(笑)。
経企: 残念ながら設備の問題があって、導入するのは難しいです。あと、注文を受けてから調理を始めるので、どうしても時間がかかってしまう。最も速いモノでも2分ほどかかってしまうので、日本に鉄板焼きを導入するのは厳しいですね。
土肥: それは残念。ここで簡単におさらいを。タイの人たちは長居する傾向があるので、回転率勝負はできない。人気店を調査したところ、メニューが充実しているところが多かった。そこで鉄板焼きに目をつけて、メニューのバラエティで勝負したわけですね。
経企: はい。
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