誰が“トク”をしたのか? 鳥谷と中島が日本でプレーすることの怪:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
メジャーリーグへの挑戦を公言していた鳥谷選手が、阪神に残留することが決まった。「日本より条件が悪くてもメジャーに行く」と言っていたのに、なぜ日本でプレーする道を選んだのか。
火に油を注ぐような出来事が発生
両者の間で火がくすぶっていたところへ、さらに油を注ぐような出来事も発生していた。高騰の続く契約条件に歯止めをかけようと2008年から所属選手との契約を最長5年にリミットを設けているのが、ブルージェイズの基本方針。しかしこれをボラス氏が昨年12月のウインターミーティング(米カリフォルニア州・サンディエゴ)で報道陣に囲まれた際に「将来有望な選手との関係を絶とうとする蛮行である」などと批判したことで、ポール・ビーストン球団社長やアレックス・アンソポロスGMらブルージェイズ幹部の怒りを買ってしまったという。
ちなみにブルージェイズが鳥谷側に打診していたのは、メジャーのスプリングトレーニング(春季キャンプ)に招待選手として参加するマイナー契約だったという情報もある。とはいえ、これが事実だったとしてもあながち低過ぎる評価とは言い切れない。これまで日本人内野手がメジャーリーグで抜きん出た実績を残せていないこともあって、いくら一昨年の第3回WBCから獲得に興味を示していた“虎の鉄人”鳥谷でも米球界では何の実績もない新規契約選手だけにブルージェイズとしては慎重にならざるを得ない背景もあったはずだ。
日本のソフトバンクで活躍し、メジャー移籍後もシアトル・マリナーズ、そして自軍でユーティリティー・プレーヤーとしてチーム屈指の人気者となった川崎宗則内野手でさえもブルージェイズは今季のチーム残留を熱望しながらマイナー契約でのオファーを提示しようとしている。そういう今の状況を考えれば、鳥谷へ提示した条件は妥当な線だったと言えるかもしれない。
だがそうは言っても、これをあのボラス氏があっさりと「OK」するわけがない。阪神から提示されている残留オファーとは天と地ほどに恐ろしいまでの開きがある。その額に少しでも近づけようと……いや、真剣に阪神以上の高額契約の条件を引き出そうとボラス氏は交渉を続けたものの、ただでさえ丁々発止の関係性であるブルージェイズ側との話し合いは困難を極め、シェイクハンドなど夢のまた夢の状況だったという。
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