誰が“トク”をしたのか? 鳥谷と中島が日本でプレーすることの怪:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
メジャーリーグへの挑戦を公言していた鳥谷選手が、阪神に残留することが決まった。「日本より条件が悪くてもメジャーに行く」と言っていたのに、なぜ日本でプレーする道を選んだのか。
代理人の仕事
アメリカン・リーグの某球団極東スカウトは、ボラス氏について次のように語った。
「ボラス氏は代理人としてクライアントから年俸5%分の成功報酬を受け取る。当然、契約が高額になればなるほどもうけは大きい。同氏が条件交渉で1ドルでも上乗せしようと金額に固執するのは、そういう自らの利潤追求があるからとも言われている。
そういうスタンスなのだから鳥谷に関してもボラス氏としては、一番条件のいいチームと合意してもらわなければ割に合わない。いくら鳥谷が『マイナー契約でもいい』と主張していたとしても、ブルージェイズへ移籍するデメリットを強調して阪神へ残ることを勧めていたはず。
ボラス氏はとても優秀な代理人だが、金銭面にこだわらないメジャー移籍を目指していた鳥谷にとって果たして適正な人物であったかは大きな疑問が残るところだ」
今オフ、ボラス氏と代理人契約を結んだ日本人選手は鳥谷だけではない。オークランド・アスレチックスからFAとなり、オリックスへ移籍した中島裕之内野手もそうだ。3年契約で最大12億円と見られる破格条件でサインを交わすことになったが、アスレチックスでの2シーズンが一度もメジャー昇格を果たせず不本意な結果に終わった中島にとっては最も高額だったオリックスのオファーよりも米球界残留で夢を追う選択肢のほうが第一希望であった。
その強い気持ちがあったからこそボラス氏に「招待選手ででもスプリングトレーニングに参加できるオファーがあるなら、メジャー契約じゃなくてもいい」と懇願して望みを託したが、中島のもとに吉報は最後まで届かなかったという。
「だが、この内情は第三者には誰にも分からない。本当はマイナー契約で打診があったとしてもサインさせたくないと思えば代理人サイドは、本人に知らせないことだってできるし、仮に本人へアナウンスしていたとしても『結局はまとまらなかった』と水面下で破棄することだってできる。
断わっておくが、ボラス氏がそれをやったとは一言も言っていない。要は、そういうこともできる立場にあるということ。ただ実際にメジャー球団からオファーが一切なかったにしても、中島が選択したのはラブコールを送られていた国内複数球団の中で最も条件が高かったオリックスだったからね。結果として鳥谷のケースと同様、ボラス氏の実入りは一番高額だったというわけだ」(前出のスカウト)
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