ロシアで自販機は定着するのか? ダイドードリンコの挑戦:仕事をしたら“海外”で自販機が増えた(3/6 ページ)
海外に行ったとき「日本のように自販機が少なくて不便だなあ」と感じたことがある人も多いのでは。海外は治安が悪いので、自販機を置くのは難しい、と言われてきたが、そんな常識を覆す試みが始まっている。
モスクワの市場環境
土肥: 現在、モスクワで自販機を200台以上(1月末現在)展開されているそうですが、市場環境などを教えていただけますか?
広報部: まず、エリアの特徴を申し上げますね。モスクワは欧州最大の都市で、人口は約1100万人、今後も人口は増えると見込まれています。所得水準をみると、ロシアの他の都市と比べて高いですね。
次に、消費者の特徴について。日本人は貯蓄率が高くて、ちょっと余裕ができても「金融機関に預けよう」と考える人が多いですよね。一方、ロシアの人たちは違う。高価格の商品であっても、積極的に購入しようという人が多い。歴史的な背景があって、お金(ルーブル)に対する信用が低いのかもしれません。あと、日本製の商品に対して、信頼度が高い。一般的に「高品質」「健康」といったイメージを持たれているようです。
最後に、自販機市場について。モスクワ市が先頭に立って、街に自販機の導入を進めています。政府の普及政策があるので、今後は急拡大が期待されています。
土肥: なるほど。モスクワの人口は約1100万人ということですが、自販機の市場はどのくらいなのでしょうか?
広報部: 日本の飲料自販機をみると、年間の販売額は2兆円ほど。一方、ロシアは135億円(2012年)ほど。まだまだ、かなりの差がありますね。
土肥: ゾウとアリくらいの差があるじゃないですか。
広報部: モスクワでの自販機の設置台数は、2012年に1万5000台ほどだったのですが、政府は2015年に9万台という目標を掲げているんですよ。
それでもまだまだ伸びしろがあると思っています。東京の人口1300万人に対し、自販機は50万台以上、ニューヨーク州の人口800万人に対し、自販機は20万台以上あります。そう考えると、モスクワ市とモスクワ州を合わせると人口1800万人なので、自販機は20万台以上設置できる可能性があるんですよ。
関連記事
- コンビニコーヒーの味に違いはあるの? 科学的に分析した
外出先で「ちょっとコーヒーを」と思って、カフェチェーンに立ち寄る人も多いのでは。ファストフードやコンビニでも気軽にコーヒーを飲むことができるようになったが、その味に違いはあるのか。味を分析できる機械を使って調べたところ、意外な事実が……。 - 自販機の一等地は「左上」? 人の視線を追いかけたら“常識”が覆った
自販機で缶コーヒーを買う――。日常的な行動なので、意識していない人が多いと思うが、実は自販機には隠れたノウハウがある。マシンの前に立ったとき「人は『左上』に注目する」と言われてきたが、ダイドードリンコがアイトラッキングを使って分析したところ……。 - 社長から“ダメ出し”100回以上! 別格「日本冠茶」完成までチョー大変
キリンビバレッジの飲料「別格」シリーズが売れている。価格は200円(税別)もするので、ネット上では「高い」といった声が多い。これまでの常識では考えられない商品はどのようにしてつくられたのか。別格「日本冠茶」を開発した担当者に話を聞いた。 - 缶コーヒー市場に“2つの潮流”――ダイドードリンコの高松社長に聞く
コンビニのカウンターコーヒーがヒットして、缶コーヒーが苦戦している。そんな中、缶コーヒー市場にちょっとした異変が起きている。それは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.