民間企業「アクセルスペース」の人工衛星が、ものすごく安い理由:仕事をしたら“宇宙”に飛んだ(前編)(2/6 ページ)
2013年11月。大学発のベンチャー企業「アクセルスペース」が、民間企業としては世界初となる商用の小型衛星を打ち上げた。大型の人工衛星に比べて、価格はかなり「安い」というが、なぜそんなモノをつくることができたのか。同社の中村友哉CEOに話を聞いた。
アクセルスペースの強みは「価格」
土肥: 夜空をじーっと見ていると、タイミングがよければ人工衛星が動いているのを見ることができますよね。人工衛星は、気象、通信、測位(GPS)、軍事などで使われていますが、これまでは国家が主導で運営してきました。しかし、中村さんは2008年にアクセルスペースという会社を創業して、人工衛星をつくって実際に打ち上げに成功されました。
ひと昔前であれば、民間企業が人工衛星をつくるなんて信じられない話でしたが、いまはたくさんの企業が宇宙開発に携わっているのですか?
中村: 創業当時、米国でも「人工衛星を使ってビジネスを始めよう」という動きが広まっていました。従来型の大きな人工衛星はいまでも国家主導でやっているのですが、ここ5年ほどで宇宙開発に携わる民間企業がものすごく増えました。特に米国で多く、部品を供給する会社を含めると、100社以上ありますね。
土肥: 競合他社がたくさんあるということですが、アクセルスペースの強みは何でしょうか?
中村: とにかく「安い」ということですね。同じくらいの性能を持つモノでも、圧倒的に安い。ケタが違うんですよ。
土肥: なぜそんなに安くつくることができるのでしょうか? 人工衛星といえば精密な機械がたくさん搭載されているので、「安くて大丈夫なの?」と不安に感じる人も多いのでは?
中村: 安くしようと思ってつくっているわけではありません。私たちは大学時代から人工衛星をつくっていて、それは教育用でした。最初は、手の平の上に乗るような小さな人工衛星の打ち上げに成功しました。その後、大学在籍中に、3つの人工衛星の打ち上げに成功したのですが、いずれも独自のつくり方だったんですよ。
土肥: 独自のつくり方? どういう意味でしょうか?
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