民間企業「アクセルスペース」の人工衛星が、ものすごく安い理由:仕事をしたら“宇宙”に飛んだ(前編)(3/6 ページ)
2013年11月。大学発のベンチャー企業「アクセルスペース」が、民間企業としては世界初となる商用の小型衛星を打ち上げた。大型の人工衛星に比べて、価格はかなり「安い」というが、なぜそんなモノをつくることができたのか。同社の中村友哉CEOに話を聞いた。
秋葉原で部品を購入
中村: 最初は知識がなかったので、既存の技術を調べました。「なるほど、こうした仕組みでできているのか。じゃあ、自分たちも同じように……」といった感じで。NASAやJAXAなどの宇宙機関がこれまで築き上げてきた“ザ・スタンダード”のつくり方を取り入れました。そうすると、高額な部品を使わなければいけないことが分かってきました。なぜ高額になるかというと「この試験に合格して、あの試験に合格して」といった感じで、さまざまな基準をクリアーしなければいけないので、価格がどうしても高くなってしまうんですよね。
一方の大学はお金がない。いくつもの試験に合格した高い部品は使えないので、秋葉原の家電量販店などで売っている部品を買ってきて、それを使いました。
土肥: ははは。そんなことができるのですか?
中村: その部品を使って、実際に打ち上げに成功しました。しかし、国家プロジェクトでつくられた人工衛星にそんな部品は使えません。誰がつくったのか分からないようなモノを使うわけにはいかない。ただ、実際に使えないわけではないんですよ。“使ってはいけない”と決まっているから使えないだけ。私たちは、NASA流、JAXA流といった既成概念を気にせず、使えるモノは使うといった姿勢でつくってきました。
もちろん、たくさんの失敗をしてきました。そうした経験の中で「高額な部品を使わなくても宇宙で動く」ということを学んできました。
土肥: 飛ばしながら考えて、その中で必要なモノを見極めていった?
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