民間企業「アクセルスペース」の人工衛星が、ものすごく安い理由:仕事をしたら“宇宙”に飛んだ(前編)(4/6 ページ)
2013年11月。大学発のベンチャー企業「アクセルスペース」が、民間企業としては世界初となる商用の小型衛星を打ち上げた。大型の人工衛星に比べて、価格はかなり「安い」というが、なぜそんなモノをつくることができたのか。同社の中村友哉CEOに話を聞いた。
宇宙で修理できるようなシステム
中村: はい。私たちは安くしたいからコスト下げたわけではありません。大学というお金がない環境の中で「どうしたらできるのか」という発想がベースにあって、ああでもないこうでもないとさまざまな部品を使っていく中で、大型衛星に比べて100分の1ほどの価格のモノが完成したんですよね。
国家プロジェクトの人工衛星は失敗することが許されません。ある部品の信頼性は99.99998%であっても、物足りない。99.99998%を99.99999%にしなければいけません。99.99999%になったら、さらに信頼性の高いモノを求めていくんですよね。そのために、あと10億円使うといった世界。
土肥: でも、たまに失敗していますよね。
中村: なぜ失敗するかというと、1つ1つの部品の性能性は高くても、全体の設計が悪かったらダメ。そうしたことが起きているんですよね。
民間企業の私たちが信頼性の高い部品ばかり使っていると、コストが高くなるばかり。宇宙は地球と違って温度や放射線量などが違う。不具合が起きる可能性はどうしてもあるので、問題が起きればそこでシステムを見直しますよ、という考え方なんですよ。
つまり、完璧を求めているのではありません。1つ1つの部品に高い質は求めませんが、システム全体として壊れないモノを求めています。でもどうしても壊れることがある。なので、宇宙で修理できるようなシステムを導入しています。
土肥: トライ&エラーを繰り返しながら、完成度を高めていったわけですね。
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