JR東日本がクルマの自動運転に参入する日が来る?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/4 ページ)
クルマの自動運転はすばらしい。未来の移動手段だ。しかし、鉄道ファンの私としては心がざわつく。クルマを自分で運転する必要がなく、鉄道並みの安全性と定時性が確保されたら列車は不要になるからだ。
都市部でもBRT専用レーンを活用できそう
地方では隔離レーンとしてBRT専用道が有効だ。では、都市部ではどうだろう。東京オリンピックに向けて、都が虎ノ門と湾岸部を結ぶBRTを計画しているように、近年、都市部でもBRTの導入が検討されている。路面電車のようにバス専用レーンを設けて、一般車を排除し渋滞の影響をなくす仕組みである。このバス専用レーンにも自動運転車の通行を許可する。もちろんバスの通行を妨げない範囲で。通行可能車両数は少ないし、待機レーンの収容量も少ないだろう。しかし、BRT専用道にしても、BRT専用レーンにしても、バスが走っていない時間はガラガラだ。運用効率は一般道に比べてずっと低い。そのすき間を自動運転車に活用してもらう。
自動運転車の普及率が増えた段階で、BRT専用レーンを増やす。3車線の道路で1車線がBRTレーンだったら、これを2車線にする。それでは操作運転車が困るだろう。自動運転車よりも速く進めるはずの操作運転車が渋滞するからだ。一方で、となりのBRT専用レーンは空いている。ならば、自動運転車に買い換えよう、となる。あるいは、新車販売は自動運転システム取り付け対応のクルマだけになっていて、装置を後付けするだけだ。この移行スタイルは、私たちは既にETCの普及課程で経験している。
池田さんは、ポルシェとApple Watchの連携機能についての記事で、「機能が制限される各国の中でも、日本ではこうした機能を使うと抵触する法律が多く、将来的に導入そのものがなされない可能性」があるという。そして「日本が取り残されて良いのか」と問い掛ける。おっしゃる通りだ。しかし、BRTを活用すれば、日本だって自動運転社会を実用化できそうだ。舞台は整った。あとは法律だの規制緩和だの、書類上の話だ。まあそこが難しいわけだが。
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