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「常識が通じない」マツダの世界戦略:池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)
「笑顔になれるクルマを作ること」。これがマツダという会社が目指す姿だと従業員は口を揃えて言う。彼らは至って真剣だ。これは一体どういうことなのか……。
こんなやりとりは身内でなければ絶対にできない。サプライヤーは受注契約のときに必ず仕様書を求める。責任の範囲を明確化するためだ。しかし仕様書に「笑顔になれるトランスミッション」とは書けない。全ては数字で表すのだ。だからサプライヤーを使う限りマツダの世界戦略は実現できない。マツダがこの時代に内製にこだわる理由はそこにある。コストを考えれば大量生産するサプライヤーの汎用品をカスタマイズした方が安いに決まっているが、それはマツダの求める部品ではなく、マツダの世界戦略に合致しない。大して数がはけるわけではないロードスター用の縦置きFR用マニュアルトランスミッションが、山口県防府市の自社トランスミッション工場で、素材から製品まで一気通貫して作られる理由はそこにある。
マツダの言いたいことをだいたい理解した上で筆者はもう1つ疑念をぶつけた。笑顔戦略は分かったが、財務の人たちはそれをどうやって共有しているのか。
「ですからね。財務の人のところに図面を持って行くんです。今度のクルマこうこうこういうものになったら素敵だと思いませんか。すると提案がちゃんとしていれば彼らは同意してくれるんです。つきましてはこれだけコストがかかります。そうやって理解してもらって予算をつけてもらうんです」。
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