「FOMAは意識していない」〜好調KDDIに3G戦略を聞く(2/2)KDDI(当時はDDI-セルラーグループおよび日本移動通信(IDO))は、4年前に“2.5G”と呼ばれるcdmaOneネットワークを導入。1999年に全国ネットワークを完成させている。この時点で、エスカレータ式に第3世代方式を導入できる“切符”を手に入れているわけだ(2001年7月の記事参照)。 「みなさんが思っているほど、(1x導入は)大きな出来事とは思っていない。cdmaOneを最初に導入したときのほうが大きかった。(cdmaOneを)一から構築したときは、他社が(W-CDMAで)苦んでいるように、エリアが狭い、切れる、ビルの中が使えないなどいろいろな問題を抱えていた。いまではこれだけ成熟しているのが大きなアドバンテージとなっている」(菅氏) 3Gの普及速度ではなく、“新インフラの普及速度”が重要なのだとしたら、FOMAと比較すべきなのは約4年前に行われたcdmaOneだということになる。導入当時のcdmaOneは通話もできないような不具合が起こることもあった(1999年12月の記事参照)。それでも、サービス開始から1年経たずして100万契約を獲得したのは、伸び悩むFOMAと比べても優秀だったのではないか。 クアルコムジャパンの松本徹三社長が「KDDIは(cdmaOneを採用することで)将来への助走をやった。この3年間の厳しさが果実となって出てくるのは来年、再来年」と言うように(2001年10月の記事参照)、第3世代を念頭に置いた、早くからのネットワーク構築が、今のKDDIが第3世代で先行する礎となっているわけだ。
テレビ電話や高速データ通信をアピールしたFOMAに対して、新インフラを強調せずに3Gサービスの契約者を増やしているKDDI。そこには、“3Gだからといってユーザーが飛びつくわけではない”という現実がある。 では、KDDIを含めて各社が3Gの導入を急ぐのはなぜか? もちろん、将来的にデータ通信需要が伸びるのを見越して、高速データ通信が可能なインフラを導入しようというは理由の1つ。 しかし、「PCと接続してのデータ通信は、IS-95B(cdmaOne)のときよりは上がっているが、契約率はそれほど高くない」(菅氏)。また144Kbpsのデータ通信を実現する「高速パケットオプション」についても、「訴求が行き届いてなかった部分もある。期待していたほど入ってもらっていない。現在無料キャンペーン中なので100%に近い数字は取りたいと思っていたが、そこまではいっていない」(菅氏)と、データ通信需要についてはまだこれから。KDDIの資料でも、音声ARPUが7000円を超えるのに対し、データARPUは1000円にも満たない(5月16日の記事参照)。 現時点でいえば、通信キャリアにとってデータ通信以上に大きな3G導入の理由は、電波利用効率の向上だ。第2世代と呼ばれるドコモのPDCなどに比べ、CDMA方式を用いる3Gは、同じ周波数幅に収容できるユーザーが格段に向上するとされている。cdmaOneに比べても、CDMA2000 1xは収容効率が1.5倍。「CDMA2000 1xで効率が良くなっているので、今考えている想定では、800MHz帯で音声ユーザーはすべて収容できる」(菅氏) 周波数の不足に悩まされ続けてきたドコモが、2GHz帯という新しい周波数帯で3Gサービスを急ぐのも分かる。
3Gへのシフトを急速に進めるKDDIでは、今後端末の売り方も多少変えていく。これまで、1〜2台の端末をばらばらに市場投入することが多かったが、今後は複数の端末を同時に発表していく。「(まとまって出たほうが)ばらばらと出るよりもインパクトがある。例えば、もしムービー機能やカメラが付いた端末出すとしても、まとめて出したほうが店頭でも目立つし、プロモーションもやりやすい」(菅氏) KDDIの小野寺正社長は、秋に向けてカメラ付き端末や動画再生が可能な端末の準備を進めていると、先の講演で語っている(6月17日の記事参照)。ただ、同じ3GでもCDMA2000 1xの通信方式にそぐわないテレビ電話には消極的だ。「テレビ電話の予定はない。今のところでは、そのニーズはあまりないと思う」(菅氏)
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