Mobile:NEWS 2002年7月26日 04:51 PM 更新

KDDIの“着実な”ロードマップを探る

3Gへの移行を済ませたKDDIは、さらなる飛躍に向けて次々と手を打ってくる。まずは動画対応メール、続いてダウンロード型BREW……。先行きの不透明な他キャリアと異なり、KDDIのロードマップは着実に進展している

 短期的にはカメラ内蔵が大きなトピックになりそうだが(6月19日の記事参照)、来年以降を見た場合、やはり3Gの展開に注目が集まる。第3世代サービス(3G)を行う(予定の)携帯3キャリアを眺めると、最もロードマップが明確なのはKDDIだ。

秋に、動画メール対応端末群を用意

 今年、4月1日に3GであるCDMA2000 1xを導入し、秋には、明らかになっているだけで以下のような機能を持つ端末群を投入する。

 動画メールがezmovieと互換性を持つ可能性が高いことを考えると、ある事実も浮かび上がってくる。

 動画コーデックにMPEG-4を採用したezmovieでは、再生のために特別なハードウェアが必要だ。現在販売されている東芝製の「C5001T」では、同社製の「T3」というMPEG-4のエンコード/デコードを行うチップが内蔵されている(1月30日の記事参照)。

 ただし、専用チップでなくても動画は再生できる。日立製作所製のアプリケーションプロセッサ「SH-Mobile」では、動画の録画・再生が可能。実際にSH-Mobileを搭載した端末でezmovieが再生できるデモも行われている(5月21日の記事参照)。

 つまり動画対応の端末は、MPEG-4処理専用のチップか、アプリケーションプロセッサを搭載してくる。アプリケーションプロセッサを搭載した場合、Java(ezplus)の動作速度も大幅に向上するだろう。

 これまでの発言を重ね合わせると、時期については、10月以前、9月前後を予定しているようだ。マーケティング的に、複数の端末を同時に投入することも決めており、数社の端末が同時期に発表されると見られる。

端末名メーカー名通過日
A5301T東芝JATE 2002/5/30
A3015SA三洋電機JATE 2002/6/4
A5302SA三洋電機JATE 2002/6/5
A1013K京セラJATE 2002/5/31
A1014ST鳥取三洋電機JATE 2002/6/28

認定を取得済みのau向け端末の一部。展示会などに置かれている日立製のムービーケータイはカメラを付けて再登場となるもよう。上記の端末の一部は、インターネット上に写真が流出しているものもある

続いてBREW、そして1x EV-DO

 続いて、2003年にはダウンロード可能なBREWに対応した端末を準備してくるもようだ(7月17日の記事参照)。KDDIは「2002年度中に投入」としており、春までには次の製品群が用意される。

 2003年の春には、下り最大2.4Mbpsの高速データ通信「CDMA2000 1x EV-DO」に対応した端末を用意する。ただしこちらは2GHz帯を使うデータカードになる見こみ。音声端末が1x EV-DOに対応してくるのは、2003年の秋となっている(7月19日の記事参照)。

 スムーズに第3世代に移行したKDDIは、その後のロードマップも着実に用意している。ある通信キャリア関係者も「KDDIには技術力がある。一番怖いと思っていた相手だ」と語る。潜在能力は評価されながらも、今ひとつサービスが浸透していなかったKDDIは、マーケティング重視に方向転換すると共に(7月18日の記事参照)、大きく花開こうとしている。

新たな展開が見えてきた各社の3G

 逆に、第3世代の行方が大きなカギを握りそうなのがJ-フォンだ。J-フォンのDarryl E. Green社長は、今年の12月からサービスを開始する3Gに大きな期待を寄せる。ドコモをも凌ぐペースでエリアを急速に拡大し、一気に3G普及を目指す(7月17日の記事参照)。しかしこれは裏を返せば、2G、2.5Gでは革新的な新サービスの予定がないということでもある。端末機能の強化が中心だ。親会社の英Vodafoneとの連携を進めるためにも、3Gの早期立ち上げは必須要求なのかもしれない。

 あるJ-フォン関係者は、「PDCとサービスエリアが同じになる2003年8月には、端末販売台数の半分は3Gにする」と語る。半年が経過して、10数万台の契約者にとどまるNTTドコモのFOMAを見てきただけに(7月5日の記事参照)、かなり強気な発言とも取れる。ともあれ、J-フォンがそれだけ3Gに意気込んでいるということでもあるだろう。

 少々ペースダウンな印象があるのはドコモのFOMAだ。未だに今年3月の目標契約数であった15万人にも届かない。サービス開始当時の立川啓二社長の発言を聞くと、今頃はFOMAの普及が始まっているかのような勢いだった。ドコモは「2002年度末に130万契約」という強気な姿勢を変えていないが、最近では「FOMAはじっくりと取り組んでいくもの」という発言も聞かれる。

 今や、来年の春にドコモのPDC端末「505iシリーズ」が登場することを疑う人はいない。あるドコモ向け端末開発者も「PDC端末は、まだ2−3年は進化し続ける」と語る。

 すんなり3Gへの移行を果たしたKDDI。あせりも感じられるドコモ。そして、3Gにすべてを賭けるJ-フォン。3社3様の3Gへの取り組みは、また新たな展開を見せてきた。

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[斎藤健二, ITmedia]

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