5分で分かる、先週のモバイル事情:8月2日~8月8日
8月5日、ソフトバンクが第1四半期の決算を発表。携帯電話事業の端末販売数やARPUが減少した影響で減収増益となった。7月の携帯電話の契約数は、ソフトバンクモバイルが純増トップを守り、auは初のMNP転出超過となった。
ソフトバンクが決算発表、通信大手3キャリアの決算が出そろう
8月5日、ソフトバンクモバイルが2009年3月期第1四半期の決算を発表。売上高が前年同期比2.4%減の6472億5500万円、営業利益が前年同期比8.1%増の850億8600万円となり、減収増益という結果になった。同社の事業を牽引する移動体通信事業単体では、売上高が前年同期比4.9%減の3725億8500万円、営業利益が前年同期比1.7%増の442億7300万円となっている。
決算会見に登壇した孫正義社長は、売上減の原因について、割賦販売(新スーパーボーナス)の導入でユーザーの買い換えサイクルが長期化し、機種変更による端末の販売台数が34%減ったためと説明。これにより端末の売上が約139億円減少したが、孫氏は想定内であるとし、「端末を長期間利用するユーザーにもフェアな状態になった」という。
もう1つの売上減の原因とみられるARPUの減少については、「実は底打ちをして、きちっと順調に横ばいで推移している」と孫氏。その根拠としてARPUの計算方法に触れた。
従来のARPUは、単純に通信料収入を元に計算していたが、これはかつての販売奨励金として支出された端末代金の一部を含んだ通信料金と異なり、今のソフトバンクモバイルの通信料金は新スーパーボーナスでユーザーが支払っている端末代金が含まれていない。そのため、通信料収入だけを見ると大幅に低下しているように見えるが、端末代金の割賦支払金を含めた金額で見ると、5500円前後で安定しているというのがその理由だ。「ソフトバンクは月々の割賦代金を含めた額をARPUとすべき」とし、「この方式でARPUを算出すると、けっしてARPUは減っていない」と主張した。
孫氏はまた、今後の同社の端末ラインアップにカシオ計算機製端末が加わることも明らかにしている。
なお、ソフトバンクが決算を発表したことで、通信大手3キャリアの今期の決算が出そろった。NTTドコモが減収増益、KDDIが増収減益、ソフトバンクが減収増益で、この第1四半期を終えたことになる。
auが初のMNP転出超過に――7月の携帯契約数
8月7日、電気通信事業者協会(TCA)が7月末時点の携帯電話・PHS契約数を発表した。携帯電話の契約数は1億403万9900で、6月から39万1600の増加となった。
純増数はソフトバンクモバイルが21万5400(ダブルナンバー:1300)、NTTドコモが9万4200(2in1:6万8200増)、イー・モバイルが6万5000、KDDI(au)が1万7000。KDDIは番号ポータビリティの転入転出数が、制度開始後初の転出超過となるなど、7月は不振に終わった。
PHSは2100の純増で、累計契約数は461万6900となった。
関連キーワード
電気通信事業者協会(TCA) | KDDI | イー・モバイル | NTTドコモ | ソフトバンクモバイル
KDDI、フィルタリングサービスに「ブラックリスト」方式を採用
KDDIは10月から、EZwebの未成年ユーザー向けのフィルタリングサービスを「ブラックリスト」方式に変更すると発表した。
これまでは、親権者が「EZ安心アクセスサービス」の利用を意思表示しなければ、「EZ安心アクセスサービス 接続先限定コース」(ホワイトリスト方式)を適用していたが、フィルタリングサービスの改善に関する総務大臣の要請を踏まえてこれを変更。親権者からEZ安心アクセスサービスを利用しないという意思表示がない限り「EZ安心アクセスサービス 特定カテゴリ制限コース」(ブラックリスト方式)を適用する。なお、小学生以下のユーザーには、従来どおりEZ安心アクセスサービス 接続先限定コースを適用する。
未成年利用者向けのフィルタリングサービスについては、ソフトバンクモバイルとイー・モバイルがブラックリスト方式を採用しており、ドコモも8月1日からブラックリスト方式に変更した。
ソフトバンクモバイル、スマートフォンのパケット代を2段階定額制に
ソフトバンクモバイルが、iPhone 3GやXシリーズの端末で利用できる定額サービス「パケット定額フル」の料金を2段階定額制に改定すると発表した。
これまでパケット通信量にかかわらず月額5985円の固定定額サービスとして提供していたパケット定額フルの料金を改定し、8月請求分から月額1695円~5985円(パケット通信料は0.084円/パケット)に変更。月々2万175パケット以下なら1695円、それを超えると1パケットあたり0.084円の従量課金になり、7万1250パケット以上は5985円で固定になる。
合わせてiPhone 3G用のメールサービス「Eメール(i)」のサーバ保存期間を無期限に延長することも発表。これまでの200Mバイトもしくは最大5000件を、30日間に限って保存する仕様を、200Mバイトもしくは5000件という容量はそのままに、保存期限を無期限に改訂する。
関連キーワード
パケット定額 | iPhone 3G | ソフトバンクモバイル | スマートフォン
ドコモ、ムーバの新規受付を11月末で終了
NTTドコモが、2G(PDC)ネットワークで提供している「ムーバ」の新規受付を11月30日をもって終了すると発表した。ムーバの契約数は7月末時点で約813万と減少が続いており、ドコモは3GサービスのFOMAに経営資源を集中させるとしている。なおドコモは、2Gサービス自体の終了時期については未定としている。
ムーバの新規申し込み受付終了に伴い、8月8日以降はムーバからFOMAに契約変更するユーザーについては、契約事務手数料2100円を無料とする。また、ドコモプレミアクラブ会員向けに提供している「電池パック無料サービス」も、ムーバ端末に関しては11月30日をもって終了する。
2Gサービスは、KDDIグループのツーカーが2008年3月31日をもって停波。ソフトバンクモバイルは、2010年3月までにサービスを終了することを明らかにしている。
関連キーワード
mova | NTTドコモ | FOMA | ソフトバンクモバイル | TU-KA
世界初のHSPA+データ通信に成功――Qualcomm
米Qualcommは7月31日(現地時間)、高速通信規格のHSPA+(High-Speed Packet Access Plus)ネットワーク技術を使ったデータ通信に世界で初めて成功したと発表した。
HSPA+は既存のW-CDMA/HSDPAのネットワークと互換性があることから、通信キャリアが既存のネットワークや周波数帯リソースを生かして高速化を図れるのが特徴。既存のHSPAと比べて、ネットワークのデータ通信容量を2倍に、音声通信容量を3倍にでき、最新のHSPA+ Release7は、下り最大28Mbps、上り最大11Mbpsのデータ通信を実現するという。
HSPA+(HSPA Evolution)については、日本エリクソンもソリューション開発に注力している。LTEとHSPA Evolutionの棲み分けについて、同社 北東アジア チーフ・テクノロジー・オフィサーの藤岡雅宣氏が「HSPA Evolutionは主に、現状、HSPAを導入している通信事業者が基地局のハードウェアに手を加えずに導入できる点を訴求し、LTEは、新たな帯域の免許を取得した通信事業者や、CDMA2000から移行するなど新たな技術を入れようとしている通信事業者にプロモーションする」と説明している。
関連キーワード
HSPA+ | LTE(Long Term Evolution) | Ericsson(エリクソン) | HSDPA | W-CDMA
悲願達成――日本通信がドコモのFOMA回線を利用したMVNOサービスを開始
日本通信が8月7日、ドコモのFOMA回線を利用したMVNOサービス「b-mobile3G hours150」の提供を開始した。
b-mobile3G hours150は、全国のFOMAエリアで数百kbpsのデータ通信が可能な“買い切り方式”のデータ通信サービス。製品は中ZTE製のUSB対応3Gデータ通信端末と専用ソフト(bアクセスソフトウェア)、最大150時間分の通信接続権(480日間有効)がワンパッケージになっている。住所や氏名を登録したり、回線利用契約をキャリアと結ぶことなく手軽に利用できるのが特徴だ。実売予想価格は3万9900円。更新用のライセンスは2008年秋の発売を予定しており、150時間で3万円程度を想定している。
日本通信は8月6日にドコモとのFOMA網相互接続に間して協定を結び、翌7日からサービスを開始。接続料はドコモの原価と適正利潤から算出され、10Mbpsあたり月額1500万円だという。同社代表取締役社長の三田聖二氏は、「ホールセールではなくキャリアの3G網に相互接続するMVNOは日本通信が世界初」だとし、相互接続であれば、MVNO事業者が好きな料金でサービスを提供できるとアピール。サービスに利用する端末が、ドコモのコントロールを受けていないことにも触れ、「MVNOと端末メーカーがMNOから独立して端末をリリースするのは世界初であり、実に画期的なこと」と自信を見せた。
関連記事
「iPhone 3Gを持っている人は別人種」──絶対の自信を見せた孫正義社長
ソフトバンクは8月5日、2009年3月期第1四半期の決算を発表したが、その会見はさながら「iPhone 3G」の発表会だった。孫正義社長は自信が中国に出張した際に、iPhoneだけを使い、PCを一度も使わなかったエピソードを披露した。ソフトバンクの2009年3月期第1四半期決算、減収増益に――端末販売数とARPUの減少が影響
8月5日、ソフトバンクが2009年3月期第1四半期の決算を発表。売上高が前年同期比2.4%減の6472億5500万円、営業利益が前年同期比8.1%増の850億8600万円で減収増益となった。携帯電話事業で端末販売数やARPUが減少したことが減収につながった。カシオ計算機製端末、近々ソフトバンクモバイルに登場
ソフトバンクが8月5日に開催した2009年3月期第1四半期の決算発表会で、カシオ計算機製端末の登場に言及した。孫社長のiPhone 3G
2009年3月期第1四半期の決算会見に登壇したソフトバンクの孫正義社長は、自らのiPhone 3G体験を来場者に披露し、“まったく新しいデバイス”としてのiPhone 3Gをアピールした。そんな孫社長のiPhoneには……。iPhone 3G発売のソフトバンク好調維持、auは初のMNP転出超過──7月契約数
電気通信事業者協会が2008年7月末の携帯・PHS契約数を発表。7月は携帯キャリア各社が夏商戦向けの新機種を多く発売したが、前年同月と比べると市場規模はやや縮小した。キャリア純増トップはソフトバンクモバイルで、15カ月連続。「EZweb」の未成年向けフィルタリングサービス、10月から「ブラックリスト」方式に
KDDIは、未成年者向けのEZwebアクセス制限サービスを、10月からブラックリスト方式に変更すると発表した。なお、小学生以下のユーザーには従来通りホワイトリスト方式のサービスを提供する。「パケット定額フル」料金改定──iPhone 3GやXシリーズのパケット代、2段階定額制に
ソフトバンクモバイルは8月5日、iPhone 3GやXシリーズの端末で利用できる定額サービス「パケット定額フル」の料金を2段階定額制に改定すると発表した。またEメール(i)の保存期間を無期限にするほか、iPhone 3Gの予約販売も開始する。ドコモ、FOMAへの移行を加速――11月末でムーバの新規受付終了
NTTドコモが11月30日で2Gネットワークで提供している「ムーバ」の新規受付を終了する。加入者が減少していることから、3Gサービスに経営資源を集中させる。- Qualcomm、世界初のHSPA+データ通信に成功
HSDPAからLTEに、段階的に高速化――HSPA Evolutionのロードマップ
ドコモが2010年の商用化を目指し、KDDIが事実上の採用を認めるなど、次世代高速通信規格としてLTEに注目が集まる一方、一部の通信キャリアはLTEまでの高速化を段階的に進めるHSPA Evolutionの導入を検討している。両規格の現状と今後のロードマップを、日本エリクソンCTOの藤岡雅宣氏が説明した。MVNOが実現した高速モバイルインターネット――「b-mobile3G hours150」
ドコモのFOMA網を利用する日本通信の「b-mobile3G hours150」は、人口カバー率100%という広いエリアで150時間までのHSDPA通信が利用できるサービス。同社悲願の3G網によるMVNOサービスの魅力を経営陣が語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.