「混乱の少ない方向でiPhone 3G Sを提供したい」――ソフトバンクモバイル宮内氏:予約できるよ!(2/2 ページ)
新型「iPhone 3G S」が発表されたWWDC 2009。その基調講演の直後、会場にいたソフトバンクモバイル代表取締役副社長兼COOの宮内謙氏に話を聞いた。
iPhone OS 3.0のセキュリティで企業導入が進む?
――日本では、ベリングポイント(現プライスウォーターハウスクーパース コンサルタント)以降、企業の導入事例は出てこないのでしょうか? 企業がiPhoneを導入しようとした場合、窓口になるのはソフトバンクテレコム、ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、アップルのどこになるのでしょう?
宮内氏 私の名刺もそうですけれど、テレコムとモバイルとBBは、ある意味で1つになって動いています。法人はテレコムがやる、そしてモバイルが後ろから後押しする。
iPhoneはすでに相当な企業に入っていっていますよ。前にキャンペーンをやって、試してもらったところにジワジワとその効果が出始めています。ただ、日本は他国と比べてもかなりセキュリティの要求が高いこともあり、ネックになっていました。アメリカの企業がBlackBerryを使ってやっている会社のメールの送受信といったことが、日本では問題になってしまっていたのです。それが今回のiPhone OS 3.0で解消されたことで、今後はさまざまな導入事例を紹介できるのではないかと思っています。
――日本は企業もメディアも、過剰なほどセキュリティ意識が高い印象があります。
宮内氏 セキュリティと同時に、使いやすさということを考えないとダメですよね。今回のiPhone OS 3.0で、そのセキュリティ問題が解決され、セキュリティの要求が厳しい日本企業でも社外から会社のメールが扱えるようになるというのは、画期的なことだと思います。
iPhone 3.0では、遠隔地から端末の情報をすべて抹消する機能などがあり、すでに弊社でも実践しています。ほかにも企業契約を結んで、プロファイルという機能を使うとカメラなどをオフにする、といった設定も可能です。これは生産工場などで人気がある設定です。
iPhoneのコンシューマー向けの魅力については、大勢のプレイヤーがバンバン宣伝してくれているのでいいのですが、今後はもっと法人向けの魅力も日本の人たちに見せていきたいですね。例えば、基調講演でも紹介されていたドクター向けのソリューションなどです。今、iPhoneは医療関係にもかなり入りはじめているんですよ。
――ソフトバンクの社員の方々も日々の仕事でiPhoneを活用されているんですよね?
宮内氏 ええ、電話会議などにもiPhoneを使っています。iPhoneを使えば3~4人で(最大は6人)同時通話ができるので、これを使って電話会議をすることが日常風景となっています。iPhoneを導入することで、社員1人あたりの残業代が8万円も減るといった具合に、具体的な効果も見え始めています。ベリングポイントさん(現プライスウォーターハウスクーパース コンサルタント)はもっと下がっているようです。だって、今サンフランシスコにいても日本から来た100通近いメールが、全部これで処理できてしまいますから。ワークライフバランスも結構、変わってきていますね。我々の生活には1日のあいだに少しずつ空いている時間がありますが、iPhoneがあればそうした隙間を使って大事な業務がこなせてしまうからです。
ほかには9月ごろに、導入事例の大きな大会みたいなのをやりたいですね。もうだいぶ事例ができてきているので、ぜひそれを紹介できればと思います。
――ドコモからiPhoneが発売される可能性は、まだあるのでしょうか?
宮内氏 それについてはアップルが決めることで、コメントできる立場にはありませんが、今日の発表でもそれはないでしょう。とりあえず、我々のことを言わせてもらえれば、今までのところキャンペーンなども提供してきて、好調にiPhoneを売り続けてきています。iPhoneもずっと携帯電話の売り上げランキングで1位を維持していますし、我々のセールスは好調だと言っていいのではないでしょうか。
これまで携帯電話の売り上げランキングでは、iPhone 3Gの8Gバイト版と16Gバイト版を分けて集計していましたが、ほかの携帯電話にしても赤と黒といった違いで個別集計していないですよね。そこで容量の違いに関係なくiPhoneで1本化して集計してみたところ、iPhoneがずっと1位ということが分かってきました。
――発売されてからずっと?
宮内氏 途中そうでない時期もありましたが、2月以降はずっと1位ですね。
――ソフトバンクさんが出荷している携帯電話全体に占めるiPhoneの割合はどれくらいなんでしょう? 半分近くという試算もありますが。
宮内氏 さすがに半分まではいかないですが、25~30%は占めていると思います。
――6月26日までは、どのような体制になるのでしょうか。
宮内氏 我々もこれから体制を作って、6月26日までのあいだにデモ機のOSをiPhone OS 3.0にアップグレードするなど、いろいろな準備を短期間に進めなければなりませんし、どうしたら最もスムーズに販売ができるのかといった検討もしなければなりません。私としては事前予約の体制を整えるのが重要かなと思っていますが。
――最近、動画などのコンテンツも増えていますが、回線的には大丈夫でしょうか。
宮内氏 ソフトバンクでは3G回線に加え、Yahoo! BBによるWi-Fi環境も持っているので、そのあたりの連携も考えながら、体制を整えていければと思います。
――今回のiPhone 3G Sへの期待を。
宮内氏 基調講演ではMacBook ProとiPhone 3G Sの両方が発表されたわけですが、iPhoneでもMacと同じようなことが次々と可能になってきて、両者の関係はどんどんシームレスになりつつあります。こうした進歩によって、携帯電話からのインターネット革命、モバイルインターネット革命というのが起きようとしています。これによって、さまざまな点で時間の短縮が可能になり、我々の生活もリッチになっていくはずです。
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