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東芝とKDDIが共同開発、厚さ22ミリの「燃料電池内蔵ケータイ」CEATEC JAPAN 2009

かつて「2007年が1つの節目となる」といわれていた携帯電話用の燃料電池だが、いまだに実用化には至っていない。サイズやメタノールの入手性、法制上の問題など、解決しなくてはならない問題はまだ多数あるが、ことサイズという面では、今回の最新試作機には期待できる。


東芝とKDDIが共同開発した燃料電池内蔵ケータイ

 CEATEC JAPAN 2009のKDDIブースでは、東芝とKDDIが共同開発した燃料電池内蔵ケータイの最新試作機を、実際に手にとって見ることができる。

 2005年に公開された「A5509T」や「W32H」をベースにした試作機は、厚さがかなりあり、手に持って通話するにはとても不便なサイズだった。しかし最新の試作機は、だいぶ現実的な大きさと運用方法を採用しており、持ち歩くのが苦にならない程度のサイズになっている。

燃料電池パックは本体から取り外せる。燃料電池パック付きで厚さが22ミリとのことで、燃料電池パックを外してリチウムイオンバッテリーとカバーを付ければかなりスリムな端末になる

 最新燃料電池ケータイの特長としては、まずサイズがかなり小型化したことが挙げられる。外形寸法は幅50×長さ115×厚さ22ミリで、重量は182グラム。ボディの厚さが燃料電池部分込みで22ミリに収まったことで、「やや大きめの携帯電話」くらいのサイズになった。また、燃料電池のパックが本体から取り外せるようになったのも大きなポイントだ。燃料電池が不要な場合は通常のリチウムイオンバッテリーを取り付け、本体は薄型の携帯電話として利用できる。

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 さらに、今回の試作機では、DMFC(メタノール直接型燃料電池)で発電した電気を直接携帯電話の電力として使うだけでなく、DC/DCコンバータを介してパックに内蔵したリチウムイオン充電池を充電できる点も特筆すべきだろう。セルの発電量は400ミリワットで、連続待受時間は320時間となっている。

メタノールは専用のカートリッジから充填する。底面にメタノールの残量が確認できる窓も用意されている

 数年のうちに実用化されると言われながら、まださまざまなハードルがあり、実用化には至っていない燃料電池ケータイ。とはいえ、4年ぶりに公開された新しい試作機では、より現実的な“解”が提示された。コンパクトな燃料電池内蔵ケータイの実現が一歩近づいたと言えそうだ。

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