第12回 写真に位置情報をつけるリスクとその回避:荻窪圭のiPhoneカメラ講座
iPhoneはGPSを内蔵してるので、撮った写真に位置情報をつけられる。あとから見直したり写真を探すのに便利な位置情報だけど、不用意に出さない方がいい情報でもある。そこで今回は位置情報とのつきあい方を考える。
今さら言うまでもないけどiPhoneはGPSを内蔵してて、GPSや基地局の情報やWi-Fiなどを組み合わせて「現在地を算出」してる。
大雑把にいうとGPSは上空に浮かんでるGPS用衛星から出る微弱な電波を受け取って現在地を算出する。Wi-Fiは近くにWi-Fiのアクセスポイントを見つけると、そのアクセスポイントの位置からiPhoneの現在地を算出する。
GPSとWi-Fiを併用することで、上空が見えない……たとえば地下鉄の駅でも正しい位置がおおむね取得できるのだ。
これはすこぶる便利で、もう人間が堕落しそうになるくらいいろんな作業を楽にしてくれるのだ。現在地の地図をさっと表示してくれるし、近くに何があるかも教えてくれるし。
でもって、iPhoneで撮った写真にもその「位置情報」が自動的につく。iPhone特有のものじゃなくて、そもそもデジタル写真の形式を定めた「EXIF」という規格に、「撮影場所の位置情報」(ジオタグとも呼ばれる)の緯度経度を格納できるようになっているのだ。
おかげであとから撮影場所が分かる。
写真をじーっと見つめてもわからないけど(当たり前です)、iPhoneの「写真」アプリから「撮影地」を選べば、地図上に撮影した場所のピンがずらっと並ぶし、パソコンに転送して、位置情報に対応した画像ソフトで写真を読み込めばさっと位置が分かる。
でも、これを嫌う人もいる。撮影場所がバレるからイヤだと。
確かに自宅や友だちの家や、あるいは何らかの大人の事情でいてはいけない場所にいたりとか、世の中いろいろあるわけで、今回はその辺を考えてみたい。
撮影場所はどのくらいバレるのだろう?
わたしは写真に位置情報が付くのが好きだから、位置情報はオンにしてる。でも自宅や友だちの家で撮った写真からその場所がバレるのはちと困る。普通はそうだろう。
で、実際はどうなのか、ちょっと調べてみた。わたしが独自に調べたものなので不備があるかもしれないけどそのときは容赦なくご指摘ください。
iPhoneの写真アプリから「共有」するケースを考えてみる。
写真を表示して、左下の共有ボタンをタップするとこうなる。
ここからTwitterやFacebookに写真をアップしたら位置情報はどうなるか。
SNSにアップした写真をパソコンからダウンロードして調べてみたところ、位置情報は無事抜けてました。
つまり、自宅で撮った写真を「TwitterやFacebookにiOSの機能を使ってアップするときは安心」である。
位置情報が入っていなければ(偶然にも写り込んだ景色から撮影場所を特定するなんて技を使われたら話は別だけど)、直接バレることはない。
じゃあ「メール」や「メッセージ」したときはどうか。
この場合は元写真がそのまま(あるいはリサイズされて)送られるので、位置情報は残ってる。受け取った人がその気になれば、撮影場所の緯度経度がわかる。
だから位置情報がついた写真を直接メールやメッセージ(SMS)するときは相手によって気をつけた方がいいかも。
それ以外のサービスについてもいくつか。
Instagramは投稿時に「フォトマップに追加」をオンにしない限り大丈夫。「フォトマップに追加」をオフにした写真からは位置情報が抜けます。
LINEで送った写真からも位置情報は抜けてました(メッセージした写真を保存してチェックしてみた)。LINE Cameraで加工した写真も位置情報は無し。
SNS系はいろいろと気をつけてくれてるようです。
Google+も「Google+」アプリから写真をアップするときは位置情報を抜いてくれるようだ。
ただし、Google+に他の写真アプリから公開するときは位置情報付でアップロードされることもあるので注意が必要だ。
さらにアプリで加工して保存することで位置情報が消えるケースがある。
これはもうアプリ次第であり、写真をいじって保存するアプリなんて星の数ほどあるのでなんともいえない。手元にあるアプリを適当に調べてみると、Snapseedは位置情報が残る。Photogene2は保存時に位置情報を保持するかどうか選択可。PS expressは位置情報が消える、 という感じでアプリによって対応が違う。
写真をフォトストレージサイト、あるいはブログに直接アップする人にとっては、位置情報が残っているか否か気になるところだろうが、さすがに全部は調べられないのでご容赦を。
普段使ってるアプリやサービスがどうなのかは自分で調べて下さい、ってことで、どうすれば写真に位置情報が入っているかどうか調べられるか。AppStoreからそういう情報をチェックできるアプリを落としてくるのが一番早い。
そういうアプリはいくつもあるけど、わたしがよく使うのは「iPicture」。これで写真をブラウズすると位置情報がついているかどうかが分かる。
iPictureは写真ブラウズ用アプリだが、カレンダーから写真を探せるし、写真をタップしたとき位置情報がついていれば撮影場所が表示されるのでチェックにも使える。位置情報を削除するだけのシンプルなアプリもあるので、それを使って写真を送る前に消すというのも手だ。
自宅バレが怖いから位置情報はオフにしてるって人もいるらしいけど、それはもったないと思う。ときどき写真アプリで地図を見ると、自分が出かけた場所が分かって楽しいし、あとから「これを撮ったのどこだっけ」となっても「そういえばあの店で食べたあれがおいしかったけどどこだっけ」となっても、その場で写真を撮っていてしかも位置情報がついていればすぐに場所を引っ張り出せて便利。
iPhoneを持ってる人はマメに撮るだろうから、ある種の行動記録(ライフログ)となって面白い。いまやそういう時代なのだ。まあ、ガシガシと位置情報付写真を撮りまくり、撮影場所を隠したいときは写真を送る前にちょっと気をつける、ってのがよいかと思う。
今日の小技:写真の位置情報オンオフをカメラで使い分ける
iOS純正カメラアプリもサードパーティ製のカメラアプリも基本的に写真に位置情報がつくのである。ただし、それはオンオフ可能だ。 カメラアプリを起動したとき最初にこんな画面が出てくるかと思う。
このとき「許可しない」にすればいい。
あとから位置情報のオンオフも可能だ。「設定」→「プライバシー」→「位置情報サービス」を開き、そこから各アプリに対して位置情報を使うかどうか変更できるのである。
例えばこうする。
そうすると「純正カメラ」で撮ったときは位置情報が付加されるが「カメラ+」というアプリで撮ったときは位置情報がつかない、と使い分けられるのだ。位置情報がつくカメラアプリと、自宅や友だちの家や×××な場所など位置情報をつけたくない場所で使うカメラアプリを上手に使い分けるのである。これは(うかつな人以外には)有効かと思う。
位置情報は避けるのではなく、理解して積極的に使ったり使わなかったりしましょう。
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