海外プリペイドSIM導入マニュアル──「香港LTE 2013年」編:「LTEも1日300円でOK」な海外定額データ通信(3/3 ページ)
5社の通信事業者が競争し、通信料金の安さも世界でトップクラスの香港。今回は、プリペイドで利用できるLTEサービスを使ってみた。
中国移動香港のプリペイドSIMでLTEを使う
中国移動香港の場合は、4G+3G対応の専用プリペイドSIMカード製品のみでLTEサービスを利用できる。
ほかのプリペイドSIMカード製品は2G、すなわちGSM/EDGE接続しかできない(=低速である)ので購入には十分注意してほしい。利用方法はSmarToneとほとんど同じだ。料金は80香港ドル(約1010円)、データ通信料金は0.5香港ドル(約6.3円)/1Mバイトで、1日の最大課金を28香港ドル(約353円)とする上限ありの従量制。約56Mバイトほどの通信で上限に達するので、いわゆる28香港ドル/日の定額制と考えて大丈夫だ。
中国移動香港 LTE対応プリペイドSIMカードのAPN設定 | |
---|---|
APN | CMHK |
ユーザー名 | (なし) |
パスワード | (なし) |
中国移動香港の製品は、SIMカードを入れただけではAPNを自動で設定してくれなかったので、APNは手動で入力する。作業方法は前述したのと同様に、右記文字列の入力をWeb設定ツールより行ってほしい。
残高確認は「*#130#」への電話発信にて。残高の追加は、中国移動香港のWebサイトよりクレジットカードにてチャージできるはず……だが、筆者が所有する日本発行のクレジットカードではエラーが起き、利用できなかった。
というわけで、残高の追加は中国移動香港の店舗で作業してもらおう。スタッフに希望する追加金額を伝え、店舗のレジで支払えばその場で残高が追加される。追加手続き後、E589のWeb設定ツールよりSMSを確認すると追加合計額と有効期限が記載されたSMSが届いているはずだ。SIMカードの初期有効期限は180日。50香港ドル以上を追加すると、その日から期限が180日間延長される。
一応、SmarToneも中国移動香港も、SIMロックフリーのスマホや携帯電話を所持しているならば、通話発信コマンドにて登録できる「リチャージバウチャー」で追加する方法も簡単だ。海外渡航が多い人であればやはり1台はIMロックフリーの機器を所持することを勧めたい。日本で比較的簡単に実現する手段として、NTTドコモのSIMロック解除を行うサービスを利用してみてはいかがだろう。昔使っていたスマホやSIMロック解除対応スマホを中古店などで入手し、街のドコモショップでSIMロック解除を行ってもらう方法だ。解除手数料は3150円、解除対応機種はこちらを参照願いたい。
香港でも地下鉄OK、都心部は10M~25Mbpsと満足な速度
両社のプリペイドSIMを実際に香港の街中で利用してみたところ、繁華街や都心部ではLTEのカバーエリアはほぼ同等。都市部における地下鉄の利用はどちらも問題ないようだ。
一方、ビルの高層階や繁華街を離れたエリアではSmarToneのほうがLTEの電波の入りがよい印象だ(2013年7月現在)。例えば今回は、モンコックにある滞在ホテルの22階の部屋において、SmarToneは問題なくLTEでつながったのに対し、中国移動香港は窓際に入ってギリギリという感じであった。
通信速度は、LTEでつながれば平均して10M~25Mbpsの間、エリアによっては35Mbps前後とかなり高速に通信できた。いずれにせよ3G接続より高速なのは間違いない。
香港では、機器がすべてSIMロックフリー製品のため価格こそ若干高めだが、やはり入手の容易性やサービスを含めた通信環境は非常に整っている「携帯電話天国」の1つだ。今後香港を訪れる人は、3Gより快適な「LTE」でのプリペイドサービスを利用してみていただきたい。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。
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