ソニーモバイル黒住氏が語る――「Xperia Z2」「Xperia Z2 Tablet」の強みと狙い:Mobile World Congress 2014(2/2 ページ)
MWCで「Xperia Z2」「Xperia Z2 Tablet」「Xperia M2」「SmartBand」を発表したソニーモバイル。あらためて、これらの製品の強みはどこにあるのか? また今後はどう攻めていくのか? 端末開発を統括する黒住吉郎氏に聞いた。
VAIO事業売却の影響はあるのか――黒住氏の一問一答
以下では、記者たちから挙がった質問に対する黒住氏のコメントを紹介する。
―― デザインがXperia Z1とほぼ同じなのは、Z1が完成されたものだったからなのか。
黒住氏 Z1のときもデザインが同じだといわれた。Xperia Z、Xperia Z1、Xperia Z2の3世代は、フレームがあって、それを両面で挟むという同じデザインの考え方で進めてきた。その形だけで美しいデザインになっていて、我々は原型デザインという言い方をしている。デザインの原型や形は同じだが、Z2は少しだけ変わっている。例えば、Z1はメタルにこだわりすぎて重いとか、印象が硬いといった反省があり、その部分は改善された。また、サイドのシルバーのラインによって薄さが際立っている。
―― ハイレゾに対応しながら発表で紹介されなかったのはなぜか。
黒住氏 ハイレゾについては段階を追ってやっていく。Z2はハイレゾオーディオに対応はしているが、対応の仕方が複雑。ユーザーとして、オーディオジャックに挿したらすぐに楽しめるというのがあるべき姿。(Micro USB経由でアンプに接続する必要があるので)一手間やらなくてはいけないところがあって、強くは推さなかった。今後の課題の1つ。
―― Xperia Z2 Tabletは薄く軽いが額縁が太い。狭額縁にしなかった理由は。
黒住氏 どこにフォーカスを当てるかという問題がある。厚さなのか、フットプリント(占有領域)なのか、どこかにフォーカスしないと中途半端な商品になってしまう。10.1インチのXperia Z2 Tabletは、狭額縁にするとかなり大きくなってしまうので、そこよりは薄さを追求した。ただ、これで満足しているわけではなく、狭額縁も積極的に攻めていく。
―― VAIO事業の売却が影響した部分はあるか。キーボードが2種類あるが、今後、PCの使い方をカバーすることはあるのか。
黒住氏 VAIO事業売却が、ソニーモバイルのXperia Z2 Tabletの商品作りに影響したところはない。公式に、よりスマホやタブレットに集中すると言っているので、今後、徐々に見えてくるかもしれない。キーボードの件は、VAIOよりも、どうやったら家をタブレットを使って再定義できるか、というところから来ている部分が強い。
―― Xperia M2はミッドレンジでプレミアムということだが、価格とスペックとのせめぎ合いはどうか。
黒住氏 価格とスペックは本当に難しい部分。適度な価格感でプレミアムな商品を作るべくフォーカスしているのは、「ディスプレイを大きくきれいにすること」と「カメラをきれいで楽しいものにすること」の2点。機能的にはその2点だが、最終的にXperiaの強みは「きれいなデザイン」。「強いデザイン」は実現されているので、兄弟感のあるデザインにしようという考え。LTEを広げるにあたって、いろんな施策があると思うが、その場合にXperia M2のような商品は戦略的に大事な位置付けとなる。
しかし、選択肢が多すぎても逆に問題。オペレータの負担になり、ユーザーにとっては、ソニーはどの商品を売りたいのか、という迷いになる。我々としては、プレミアムフラッグシップのXperia Z1の流れからのXperia Z2、ミドルセグメントのXperia M2、先日発表したエントリーの「Xperia E1」。この3つが中心にあり、魅力的なタブレットなどがある、というポートフォリオ。
新興国において、すでにほかのメーカーさんのポジションがある。裸で攻めても勝てない。ソニーの強みを生かして、ソニーのベストなデザインでプレミアムな商品を投入していきたい。新興国市場でビジネスはしたいが、ちゃんとソニーの強みを生かした形でやりたい。
―― Xperiaには過去にWindows Mobile端末もあった。Android1本でソニーの世界を表現できると考えているのか。
黒住氏 正直、XperiaはOSやプラットフォームにこだわりたくないが、ビジネスの点で、やり方や順序がある。Androidは一番やりたいことができるプラットフォームだと思っていて、現時点ではそれ以外でやることは考えていない。我々はまだキャッチアップフェーズで、いろいろやり過ぎるとブレが生じる。
一方で、公式にFirefoxとのコラボレーションを発表させていただいている。HTML5やWebOSはAndroidとの親和性もあるので、技術的な検討として意味がある。時期は言えればいが、正式に製品化を検討して進めている。
―― タブレットの完成度が各社とも上がり、「より薄く、より薄く」だけでは差別化として足りないのでは。端末以外ではどうするか。
黒住氏 ソニーグループとして、タブレットビジネスを進めることで2つのポイントにフォーカスしている。1つがスマートウェアが代表するアクセサリー群で、面白い進化が生み出せる可能性がある。2つ目は、音楽や映像、ゲームなどのクラウドサービス。それらのサービスを、いかにうまく端末と合わせて提供できるか。サービスやコンテンツを持っているので、ビジネスとしての大きな差別化ポイントになっている。
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