「VoLTE」はなぜ高音質なのか? 答えはコーデックの進化にアリ:WTP2014/ワイヤレスジャパン2014
いよいよ6月下旬からスタートするドコモの「VoLTE」。最大の特徴は音質の良さだが、その理由をWTP2014/ワイヤレスジャパン2014の同社ブースで聞いた。
NTTドコモは6月下旬から、対応スマートフォン6機種でXi(LTE)回線を使った「VoLTE」(Voice over LTE)の音声通話サービスを開始する。
VoLTEは音声通話の新規格で、現在の3G回線(FOMA)で提供している音声通話と比較して音質が良く、発着信にかかる時間が短いのが特徴。そして通話と同時に下り最大150Mbpsの高速なデータ通信が可能になり、テレビ電話も利用できる。
5月末に行われたワイヤレスジャパン2014/ワイヤレス・テクノロジー・パーク2014の同社ブースでは、VoLTE最大の特徴である音質の高さを体験できるデモが行われていた。
VoLTEの音質が良いのは、音声を圧縮・伸張してデジタル化するコーデック(符号化方式)が進化したため。従来の3G通話は「AMR」(またはAMR-NBとも)という音声コーデックが使われており、伝えられる音声の周波数帯域は300Hzから3.4kHzの範囲。これに対してドコモのVoLTEは、コーデックにAMRを拡張した「AMR-WB」を採用しており、伝えられる音声の周波数帯域が50Hz~7kHzと広くなった。3Gがこもったような声なのに対し、VoLTEは低音から高音まで自然に声を再現できる。
こう比較すると「高速なLTEだから伝えられる情報が増えた」と思ってしまうが、実は通話に必要なビットレートはAMRが12.2kbps、AMR-WBが12.65kbpsとさほど大きな差はない(いずれもドコモの場合)。説明員によると「3G回線でAMR-WBを使うことも技術的には可能だが、3Gで確保できる音声回線の帯域ではAMRでもあまり余裕がなく現実的ではない」とのこと。もちろんLTEは確保できる帯域が広い(高速)こともあり、今までよりかなり効率的に音声通話を提供できるメリットがある。またパケット通信方式のため、低遅延なことも重要だという。
VoLTEで使われるコーデックは標準規格として決まっており、AMR-WB以外にもいくつか種類がある。どのコーデックを採用するかは通信事業者が選択できるため、もしドコモ以外の事業者がVoLTEにAMR-WBを採用した場合はスムーズに相互接続が可能。だが、異なる方式を選んだ場合はコーデックを変換するための仕組みを導入する必要が出てくる。なおVoLTE通話が可能な機種でも相手が3Gの場合は初めからAMRが使われ、VoLTE同士で通話していて片方(また両方)が3Gになった場合もAMRに切り替わる。
開始時は限られた対応端末同士でしか利用できないVoLTEだが、これから登場するドコモの新しいスマートフォンや通話対応のタブレットはそのほとんどが対応する見込みだ。またVoLTEはLTE圏内で無ければ使えないが、エリア整備は今後も進むため、将来はVoLTE通話が当たり前になるだろう。
昨今、ほとんどのスマートフォンは通話料金が完全従量制となっている。同時に定額のパケット通信やWi-Fiの利用が広まったことから、データ回線を使う無料の通話アプリあるいは通話料が安いIP電話アプリを選ぶユーザーが増えた。ドコモは6月から開始した定額制の通話料金「カケホーダイ」と合わせて、VoLTEの音質の良さを訴求し、基本的なサービスである音声通話の利用を増やしたいとしている。
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