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“低速通信”でも快適?――IIJmio/OCN モバイル ONE/ドコモのSIMで試してみた(2/2 ページ)

LTEの高速通信とは正反対の規制後の低速通信は、どこまで使えるのだろうか? IIJ、OCN モバイル ONE、NTTドコモの3事業者のSIMを使って検証してみた。

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ブラウザの表示が速いのは?

 続いて、ブラウザの表示テストも行った。計測方法は、ブラウザなど通信が発生するボタンをタップと同時にiPod touch純正のストップウォッチをタップするというもの。手動のため、0.1~0.2秒程度の誤差が生じることはご了承いただきたい。テストは5月24日22時頃に、埼玉県東松山市の木造アパート屋内で実施した。

 「Yahoo!Jpapn」トップの読み込みを開始してから、表示完了になるまでの速度を計測した。こちらも5回を計測して平均値を求めたが、2回目以降はキャッシュ保存によって高速化されるので、1回ごとにキャッシュを削除しながら計測した。Yahoo!Japanはスマートフォン版とPC版があるが、その両方を計測している。

 結果は以下のとおり。

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ブラウザテストの結果
ドコモ IIJ OCN
スマホ版Yahoo! 約30.3秒 約8.7秒 約33.1秒
PC版Yahoo! 約38.4秒 約18.8秒 約30.2秒

 PC版はその容量の多さから各社どうしても時間がかかってしまうが、その中でもIIJは比較的速く感じるだろう。また、スマホ版Yahoo!トップページは平均約9秒程度という短い時間で表示された。

TwitterやFacebookの表示が速いのは?

 ブラウザ以外でもいくつか表示(または更新)完了までの速度を計測してみた。計測したのは4種類。TwitterとFacebookは、Google Play経由でインストールした公式アプリを利用した。ニュースと天気も頻繁に更新すると考え、ニュースは「Smartnews」アプリを、天気は「お天気モニタ」アプリを利用した。

 TwitterとFacebookは新しい投稿が多いと読み込みが増えてしまい、Smartnewsも初回はニュースを巡回するので、いずれも表示に時間がかかってしまう。そこで各サービスとも、初回を含む5回分を計測した平均値を出した。より正確に測定するために、テスト前にアンインストール→インストールを行っている。テストは5月24日22時30分から24時にかけて、埼玉県東松山市の木造アパート屋内で実施した。

 結果は以下のとおり。

アプリの表示テストの結果
Twitter
ドコモ IIJ OCN
初回読み込み時 約5.5秒 約1.5秒 約6.2秒
2~5回目以降の平均 約2.1秒 約1.3秒 約1.8秒
Facebook
ドコモ IIJ OCN
初回読み込み時 約6.7秒 約2.4秒 約11.2秒
2~5回目以降の平均 約2.9秒 約2.2秒 約3.1秒
Smartnews
ドコモ IIJ OCN
初回読み込み時 約13.5秒 約21.7秒 約14.2秒
2~5回目以降の平均 約8.8秒 約5.2秒 約9.9秒
お天気モニタ
ドコモ IIJ OCN
初回読み込み時 約11.8秒 約2.8秒 約12.0秒
2~5回目以降の平均 約7.1秒 約2.9秒 約6.9秒

 どのサービスも、ナローバンド状態でもSNSは比較的ストレスなく使えそうだ。もっとも、「表示する写真が多くなければ」という条件が付くが。

 ニュースや天気に関しては、IIJ以外、初回はそこそこ時間がかかる印象を受けた。読み込みをしてから表示までいくぶん待つと思うのがいいだろう。ただ、実用面では使えるかなと判断できる。

 数値は出していないが、スマホをカーナビとして使うことも考え、「Google Map」とネットラジオサービス「radiko.jp」も試した。まずGoogle Mapだが、各社とも初回の読み込みには時間がかかると思いきや、通常の高速通信時とそれほど差を感じなかった。ナビゲーションが遅れてしまうこともなかった。

 radiko.jpは、どのSIMもまれに読み込み中になり、放送が途切れることがあったが、何とか使えるかな、という印象だ。


アプリのダウンロードでは遅すぎてタイムアウトしてしまった

IIJのバースト転送は威力あり

 アプリの更新や動画サービスの利用など、明らかにナローバンドに対して無理をさせる通信さえさせなければ、「そこそこ使える」という結論に達した。その中でもIIJの「初回通信75Kバイトまでは高速通信」は、文字主体のWebや、SNSで非常に大きな威力を発揮する。この仕組みはぜひとも他社も導入してほしい。

 モバイルブロードバンド全盛の中、わざわざ“モバイルナローバンド”を使おうという人は多くないかと思うが、「使いすぎて通信が遅くなってしまった! お金を払って通信速度制限を解除しよう」と思う前に、通信の内容を見直すことで、制限が解除されるまでの期間を問題なく過ごせるだろう。

 当然ながら、Wi-Fiや屋外でのWi-Fiスポットも活用することで、さらに快適になるのは言うまでもない。

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