4年ぶり増収増益のドコモ、新ARPU導入の背景 2年縛り見直しとMVNOの影響とは?:ドコモ光も好調(3/4 ページ)
4年ぶりに増収増益の決算を発表したドコモ。2台目需要でタブレット販売が伸びたほか、新料金の浸透でパケット収入が伸びたほか、スマート領域の事業も順調に推移した。
利益が3.6倍に拡大した新領域 コスト削減も貢献
スマートライフ領域は営業利益が230億円で、前年同期比で3.6倍と大幅に増加した。年間目標の500億円に対し好調に推移している。各サービスや関連子会社の事業が好調だったうえ、主に「dポイント」の費用を下期に寄せていることから利益が拡大した。
同領域の取り扱い高は2014年度が2.7兆円で、2015年度は12%増の3兆円を目指している。EC事業であるオークローンにヒット商品が生まれるなど、ドコモの通信サービスとは直接関係のない顧客が増加しているという。
dマーケットの契約数は1235万件に成長。5月28日に開始したdグルメは開始1カ月で28万契約に到達した。そのほか、dTVは453万契約、dアニメストアは192万契約、dヒッツは305万契約、dキッズは51万契約、dマガジンは205万契約となった。ユーザー1人あたりの利用料は約3割増しの1200円。またdマーケット自体の取り扱い高は230億円(第1四半期)で、前年同期比で35%増となった。
加藤社長は「dマーケットは早く1500万契約にしてくれと社内には言っている。中でもdグルメ、dマガジンが力強いし、300万契約を突破したdヒッツも根強い人気がある。オンデマンド(購入)型だけでなく、そうでないタイプへの次の広がりがあると思う」と話した。音楽配信については「Apple MUSIC」や「AWA」「LINE MUSIC」など参入が相次いでいるが、「いろんな工夫の余地、伸ばす余地があると思うので、パートナーと一緒に強化したい。インディーズ・新人アーティストの登竜門となる『Eggsプロジェクト』や、CD販売のタワーレコードもグループ会社にある。音楽というアイテムを面的に支えて強化したい」と意気込みを語った。
パートナー企業との協創を目指す+d構想も提携先が拡大中だが、加藤社長は「すぐには収益には結びつかない面もある。地方での実証実験など、次の展開に対する布石」とその位置づけを説明した。
第1四半期は通信事業、スマートライフ領域の利益が好調だったことに加え、620億円のコスト削減による効果も大きかった。年間では2100億円のコスト削減を予想している。
コスト削減には設備投資の効率化などが含まれるが、LTEの基地局数は10万6900局と、前年同期から1.6倍に拡大した。中でも100Mbps以上のLTEに対応した基地局数は6万2800局と、1年前から6倍近く増加した。なお2月に開始した下り最大225Mbpsの「PREMIUM 4G」(LTE-Advanced)に対応した基地局は3500局となった。また今年度中に13万局の設置を予定しているという。
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