ドコモのSIMロック解除、利用数は年間約12万件――「動向見て」制限期間の見直しに含み
ドコモの2015年3月期決算会見で5月から始まるSIMロック解除の義務化について説明。新機種のSIMロック解除に設けた6カ月の制限期間について、その理由を説明した。
NTTドコモは4月28日、2015年3月期決算を発表した。会見で加藤薫社長は、5月に義務化が始まるSIMロック解除について、「SIMロックの解除、また格安スマートフォンの影響については、新年度(2016年3月期)の業績予想に織り込んでいない」と説明した。
ドコモは以前からSIMロックの解除に応じており、「これまではガイドラインに従って、年間11〜12万件を解除してきた。義務化で新たな影響が出るのか注意深く見守っていきたい。格安スマホについては、MVNO各社の展開が加速しているが、その影響も今は織り込んでいない。ただ、まったく新しいアイデアが出てくるかもしれず、その影響を注意深く見守っていきたい」(加藤社長)と説明した。
義務化で利用シーンにどんな変化が訪れるのかについては、「現在は、海外に一定期間滞在する際に、持っている端末で現地のオペレーターのSIMを使いたいという方が大変多い。こうした利便性のために、今後もある程度は数が出ていくだろう」とし、「それ以外ではあまり変わらないのではないか。我々の端末はそのままでも(ドコモ回線を使う)MVNOのSIMが使える。数が増えるのか、性質が変わるのか、じっくり見ていきたい」という見方を示した。
一方でドコモは、義務化が始まる5月以降に発売する新機種について、購入から6カ月間はSIMロックを解除しない期間を新たに設けた。これについて加藤社長は、「6カ月以内のSIMロックはご勘弁いただきたい。一部のユーザーが端末を不正に入手して、転売するというケースが散見されている。こうした犯罪というか、悪意のある行為をある程度防止したいという観点で(解除できない期間が)必要だ。義務化後は、こうした観点も伴いながら、全機種でSIMロック解除に対応したい」と述べた。
ただ現状では新機種を買ってすぐにSIMロックを解除できるため、新機種では利便性が落ちて“改悪”という指摘もある。「これについては悩ましいところ。検討していきたい」(加藤社長)と再変更に含みを持たせた。また取締役常務執行役員の阿佐美弘恭経営企画部長は、「加藤社長の『検討』とは様子を見たいという意味で捉えている。6カ月にする、(ネット経由であれば)無料にする、というのは社内でいろいろ検討した結果で、当面はこうした仕様で始めたい。ただ、ユーザーからさまざまな声が出てくると思う。そうした声をしっかり見た上で、今後どうするのか考えたいと思い」と補足した。
また6カ月という長さについては「一部で転売されているのは事実。そのことで、皆さんがおかしくなるのは不公平で、6カ月間という期間を定めた。3カ月やそれ以上というのもシミュレーションしたが、(転売対策として)一番適切な数字として6カ月とした」(阿佐美氏)と説明した。
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