好調のKDDI/回復のドコモ/再建のソフトバンク――3社の決算会見を振り返る:石野純也のMobile Eye(8月3日~14日)(2/3 ページ)
ドコモ、KDDI、ソフトバンクグループの2015年度第1四半期の決算が発表された。KDDIは好調を維持しており、ドコモは久しぶりに増収増益に。ソフトバンクはSprint再建が焦点となっている。3社の実績と今後の取り組みを見ていく。
ドコモは4年ぶりの増収増益、純増数や2台目契約なども順調に
新料金プラン導入の影響を受け、業績が悪化していたドコモだが、第1四半期は「振り返ってみると4年ぶり」(代表取締役社長 加藤薫氏)という、増収増益の決算となった。売上高は1兆769億円、営業利益は2354億円で、それぞれ前年同期比0.1%、12.3%となっている。この決算に加藤氏も、「成長に向け結果にこだわると申し上げてきたが、第一歩として順調な進ちょく」と自信をのぞかせていた。
各種指標を見ていくと、従来と同じ基準のARPUは5250円。ドコモ光の収益を加えた新ARPUで見ると、5060円となる。ARPU自体は前年同期比で減少しているが、「タブレットなどの2台目需要は拡大した」(加藤氏)。第1位四半期でのタブレットの販売台数は45万台で、51%増。純増数も94万となっており、MNPの純減は3分の1の3万に減少した。制度開始以来、流出続きのMNPだったが、ようやく反転の兆しが見えてきた格好だ。
また、データ収入も増加の兆しを見せている。新料金プランでは月額5000円の「Mパック」以上を選択するユーザーが7割を超え、追加でデータを購入する率も3割超となった。もともと、新料金プランは通話料収入の減少をデータ収入で補う構造になっているが、当初はドコモのもくろみが外れて、「Sパック」の選択が予想より多かった。Mパック以上の選択率が上がり、追加でのデータ購入も増しているというのは、同社にとって明るいニュースといえそうだ。
上位レイヤーの「スマートライフ領域」は、営業利益が230億円で、「年間目標の500億円に対して好調な進捗」(加藤氏)を示している。dマーケットは1235万契約まで拡大しており、契約者数の伸びをけん引していたdTV、dアニメストア、dヒッツ、dマガジンなどに加え、夏の新サービスとして開始した「dグルメ」も急速にユーザー数を増やしている。加藤氏によると、開始から約1カ月で28万契約を獲得、決算発表の前日である7月28日には、40万契約を突破したという。
業績や各種指標が好転しているドコモだが、純増数やMNPでのポートインには、MVNOの数値も含まれる。加藤氏によると、「内訳は開示していないが、無視しうるほど小さくない」とのことで、影響が大きいことはうかがえる。MVNOは「純増を支えていただいている側面はありながら、私どもからは出て行かれている状況」(同)で、ドコモにとっては必ずしもプラスにはならない。現状ではMVNOが流出要因になっているKDDIより前向きに捉えているものの、素直には喜べないといったところだろう。
この状況に対し、加藤氏は「連携にはどんなやり方があるのか。単に競争する相手としてではなく、サービス面などでやれることがないのか。電気通信事業法も改正される予定で、私どものベースを生かしながら、私どもがどういうところに届いていないかを注意深く見守っていきたい」と語っている。方針はまだ定まっていないが、ドコモとしてもMVNOを積極的に活用する手はないかを模索しているようだ。
課題という点では、ドコモ光の獲得も挙げられる。決算会見時点では「60万の申し込みをいただいている」(加藤氏)そうで、「年間180万契約に向け、順調に進捗している」。一方で、開始当初は「受付が遅れたり、開通が遅れたりで、お客様にご迷惑をかけてしまった」(同)。割引の仕組みとしては家族での契約を促す傾向にあり、「リテンションが上がる」(同)というものの、auスマートバリューなどと比べ、ハードルが高くなっているのも事実。他社のサービスにどう対抗していくのかは、注目しておきたいところだ。
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