ドコモ+auで相乗効果を狙う「mineo」、2社とのL2接続で広がりあるサービス展開を:MVNOに聞く(3/3 ページ)
auのLTE網を使った最初のMVNO「mineo」。9月からは新たにドコモ回線を使った格安SIMも提供を開始し、値下げも行った。ライバルが多いドコモ系MVNOのサービスを展開する狙いを聞いた。
iOS問題の影響は「2割ぐらい」 iOS 9対応の発表は慎重に
―― 最後に、iOSの件をうかがればと思います。iOS 8で接続できなくなり、ようやく解決方法が見えてきましたが、まさかIIJさんが先に発見してしまうとは思ってもいませんでした(笑)。
津田氏 IIJさんとは色々な面で情報交換をさせていただいています。最初に聞いたときは、こんなことを言っていいのか分かりませんが、「さすがIIJさん」だと思いました。と同時に、我々の至らなさを反省しました。我々もドコモ系のネットワークで使ったときのことはまったく知りえず、やりつくした感がありました。IIJさんが発見したのも、ドコモでの動きの不安定さを解消しようとしていた中でだったと思いますが、プロファイルを変えたらどうかという考えに至りませんでした。
ただ、これで解決の糸口は見えました。KDDIさん、Appleさんにも申し入れをしていて、両社ともに取り組みをしていただいているとは思いますが、自分たちで解決ができなかったところに、行けると分かってきたのは大きいですね。
一方で、まだ不安定さが残っている部分もあります。ユーザーさんによって、使えた、使えないという違いがあり、使えてもしばらくするとダメになることがあります。こういうパターンならいける、こういうパターンはいけないという情報は整理して、情報として公開したいと考えています。公式のプロファイルとして提供するかどうかは、その時点での検証結果によって判断します。
―― 個人的にiPhone 6に入れて使ってみたら、安定して使えました。これなら、公式にしてしもいいのではと思ったのですが。
津田氏 iPhone 6なら、ほぼいけるという感触は得ています。ただ、もう次(iOS 9)が出るでしょうから、それを最終結果として見てではないと「大丈夫と」は言いづらい。そこは慎重にやっていこうと思います。過去に痛い目に遭っているので(苦笑)。
―― iOS 8で通信できなくなったことで、事業全体に影響はどの程度あったのでしょうか。
津田氏 2割ぐらいは影響があったと思っています。そのためにmineoに入らなかった、申し訳ないことに違約金を払って解約された方、1年を待って解約した方など、合計すると2割ぐらいになるという計算です。
―― 1年での目標であった10万契約にやや遅れが出て7万契約となりましたが、iOS問題がかなり響いているような印象も受けます。
津田氏 それもありました。なんとか、もう1回mineoに戻ってきてもらえるよう、引き続き(KDDIやAppleとの)交渉も続けていきます。次でちゃんとつながるようになり、もう一度mineoにしていただければうれしいですね。
―― 一方で、iOSに関しては、ドコモ系の回線でもLTEにつながるのが遅いといった問題があります。MVNO全体にとって、リスク要因とも言えるのではないでしょうか。
津田氏 そうですね。これは非常に怖いことです。業界全体として、そこをオープンにしていくことを求めたりと、しっかり取り組んでいかなければならないと思います。ユーザーさんが不安を持ったまま使うのは、よくないですからね。
取材を終えて:2つの回線でMVNOならではの特徴が明確に
au回線を使った異色のMVNOとしてスタートしたmineoだが、ドコモ回線も追加することで、その独自色が薄くなるのではと心配していた。ドコモ回線のMVNOとして仕切り直しつつ、au回線はオマケのような扱いになる可能性もあったからだ。ただ、津田氏のお話を聞く限り、そうした心配は杞憂だったことが分かる。むしろ、2つの異なる回線を持つことで、MVNOならではの特徴が、より明確になった印象だ。
海外用プリペイドSIMを始めたのも、データローミングができないMVNOが多い中で、おもしろい取り組みだと評価している。欲を言えば、インタビュー中にも質問したように、もう少し料金が下がれば現地でSIMカードを調達する必要すらなくなる。この点は、津田氏も第一歩と述べていたとおりで、サービスを提供しながらユーザーの声を反映させていく必要があるだろう。
さまざまな業界からMVNOが登場している一方で、ネットワークに注目して他社と差別化を図っている会社はそれほど多くない。むしろ、ネットワークを売りにしているのは、MVNOの老舗である日本通信やIIJといった数社に限られているのが現状だ。MVNOとしては新興のケイ・オプティコムが、どこまで食い込んでいけるのか。この点で、同社は今後も注目しておきたい1社と言えるだろう。
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