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“iOS 8非対応”は痛いがサービスは充実、9月から「ドコモ」プランも――「mineo」(2015年7〜8月)格安SIM徹底レビュー(1/3 ページ)

各社がし烈な競争を繰り広げる格安SIMサービス。料金、基本機能から実行速度、サポート体制まで、あらゆる要素を徹底レビューしていく。今回取り上げるのは、ケイ・オプティコムが提供するMVNO「mineo」のSIMカードだ。

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 「IIJ mio」「OCN モバイル ONE」「BIGLOBE LTE・3G」「DMM mobile」とドコモ系MVNOを取り上げてきた本企画では初のKDDI系MVNOである「mineo」を取り上げる。本企画は格安SIMについて、料金プランや使い勝手、実行速度など、購入の決め手になりそうな要素を中心に点数制で評価していく。

 評価するのは「料金プラン」「基本機能」「端末ラインアップ」「販売場所」「サポート体制」「通信速度」の6項目で、独自の基準で加点/減点し、各項目10点満点で採点していく。端末は京セラの「URBANO L03」を使用して検証した。本稿で紹介している価格はいずれも税別で、掲載している情報は2015年8月18日時点のもの。

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9月からドコモ+KDDIのマルチキャリアに対応する

各項目の評価基準

○料金プラン:10項目各1点(条件付きで減点あり)

音声サービスを提供:1、MNPに対応:1、3つ以上のプランを提供:1、900円以下で2Gバイト以上、または900円未満で1Gバイト以上のプランを提供:1、月7Gバイト以上、および無制限のプランを提供:各0.5で合計1、通信規制なし:1 (高速通信・低速通信のどちらかの場合は−0.5)、SIMカードの追加:1、データ容量のシェア:1、通話料金の割引:1、固定回線とのセット割:1

○基本機能:7項目計10点

翌月繰り越し:2、高速/低速通信切り替え:2、データ容量追加:2、オリジナルアプリ:1、バースト転送:1、Wi-Fiスポットの提供:1、留守番電話:1

○端末ラインアップ:10項目各1点

動作確認済み端末の掲載:1、Androidに対応:1、iOSに対応:1、SIMカードとのセット販売:1、端末ラインアップ3機種以上:1、タブレットを販売:1、モバイルWi-Fiルーターを販売:1、独自端末を販売 :1、LTE端末を販売:1、割賦販売:1

○販売場所:5項目各2点

オンラインでの対応:2、実店舗での対応:2、実店舗5店舗以上:2、MNPの即日対応:2、独自店舗:2

○サポート体制:10項目各1点

会員専用Webページを用意:1、よくある質問の掲載:1、SIMの設定方法の掲載:1、専用問い合わせフォーム:1、電話窓口:1、電話24時間対応:1、電話365日対応:1、チャットでサポート:1、端末の修理・交換受付:1、訪問or店頭サポート :1

○通信速度:高速通信の下り/上りの平均速度(あらかじめ設定された5カ所での測定)を算出。点数は以下の通り。

下り:平均1Mbps未満:0、平均1〜5Mbps未満:1、平均5〜10Mbps未満:2、平均10〜15Mbps未満:3、平均15Mbps以上:5

上り:平均0.5Mbps未満:0、平均0.5〜2.5Mbps未満:1、平均2.5〜5Mbps未満:2、平均5〜7.5Mbps未満:3、平均7.5Mbps以上:5


mineoとは

 mineoは、eo光をはじめインターネット接続サービスを手がけるケイ・オプティコムが提供する格安SIMサービスだ。

 ケイ・オプティコムは大阪に本社を置く関西の大手通信事業者。関西電力が出資している会社であり、インターネット普及期に生まれた電力系通信事業者の1つだ。関西方面で個人向け、法人向けのインターネット接続サービス、それに付随したIP電話やケーブルテレビの提供を行っている。

 auのMVNOである「mineo」の提供を開始したのは2014年6月。MVNOへの参入は比較的遅かったが、まったく異なる事業からの新規参入組と違い、ケイ・オプティコムはもともとモバイルに近い領域で事業を展開しているのが強みの1つだ。

 例えば、かつてはアステルのPHS事業も手がけ、「eoモバイル3G」「eoモバイルWiMAX」といった定額モバイルサービスも展開していた。2013年から提供している050の通話アプリ「LaLa Call」もケイ・オプティコムのもの。また「eoスマートリンク」と呼ばれる、「eo光」とタブレットを組み合わせたサービスも2012年に始めている。そのeo光は、「auスマートバリュー」で組める固定通信の1つでもある。

 このようにモバイル分野で見ても、相応の歴史を有した大手事業者であることが分かる。

 そのmineoは、開始当初は「KDDI系初のMVNO」ということで大いに話題となった。その後、独自端末も加わり、料金プランの改定も行われ、ファンサイトの「マイネ王」も開設した。こうしたさまざまな取り組みが功を奏したようで、契約者数も増えている。

 このように順調そうに見えるmineoだが、大きくつまずく出来事があった。それが2014年9月の「iOS 8へアップデートすると利用不可になる」という問題だ。ドコモ系MVNOは問題なく使えているなか、mineoは不可という一人負け状態。加えてiPhone 6/6 PlusはiOS 8をプリインストールしているので、iPhoneユーザーにとってmineoは選びにくい状況となった。

 つい最近になって下記のように、iPhoneでもKDDI系のMVNOサービスを利用できる方法が見つかったが(推奨されてはいない)、この影響はいまだに尾を引き、mineoの公式サイトではiOS 8.4になった現在も利用できない旨がアナウンスされている。

 そこでケイ・オプティコムが打った手が、5月に発表されたmineoの「ドコモMVNOプラン」だ。KDDI回線に加えてドコモ回線を用いたサービスを9月に開始する予定で、日本初となる個人向け「マルチキャリアMVNO」として事業を展開する。これでiPhoneも安心して使えるようになるはずだ。

 加えて海外渡航者、訪日外国人向けのプリペイドSIMも販売開始し、アンテナショップの設立と最低利用期間の撤廃も発表。矢継ぎ早にサービス内容を強化しており、その効果が今後どのように現れるのか楽しみだ。

料金プラン:500Mバイト/月700円のコースをはじめ容量別に4コースを用意

 データ通信専用の「mineo シングルタイプ」と、音声対応SIMの「mineo デュアルタイプ」があり、どちらも月の通信容量別に4コースを用意している。プランは計8プランだ。

 最大容量は月5Gバイトまでと、ヘビーユーザーにはやや物足りない。ただしこれらはKDDIの回線を使用するもの。9月からドコモ回線を用いたプランも始まり、サービスが拡充される。

 最安はデータSIMの月500Mバイトのプランで月700円。月1Gバイトのプランは月850円だが、これは初月+1Gバイトのサービスがある。

 最も高いプランはデュアルタイプの5Gバイト/月2190円だ。なお、mineoはデータSIMでも無料でSMSを使える。ほかのMVNOでは月額基本料を取っていることが多いので、うれしいポイントだ。

 容量のシェアは「グループシェア」となっており、あらかじめ「パケットシェアグループ」に追加した回線番号とシェアができる。1つの回線で複数のSIMを使ってシェアするわけではないので注意。

 容量の追加は150円/100Mバイト、1回10口まで、有効期限は翌月末となっている。通信規制は直近3日間で3Gバイト以上の使用により制限される場合がある。

 最低利用期間については通話SIMであっても撤廃されているが、MNPに関しては12カ月以内で転出すると、転出手数料が1万1500円(通常2000円)となる。これは解約金ではないものの、ユーザーから見ればほぼ同様なので、表では通常転出時の2000円分を引いた9500円を「最低利用期間」「解約金」の部分に記載した。

 テザリングは機種によって可能だが、iOS 7のiPhoneは不可。SIMサイズはmicro、nanoの2種類で、標準SIMは用意されていない。au系MVNOであることに加え、2014年後半の参入ということもあって、そもそも動作確認端末一覧を見ても標準SIM対応の古い端末がないのだ(後述)。

 通話料金の割引、固定回線とのセット割はないものの、2〜3月にかけて基本料割引キャンペーンを実施していたので、今後似たようなキャンペーンがあるかもしれない。

「mineo シングルタイプ」の料金プラン(データ通信専用SIM)
プラン名 500MB/月 1GB/月 3GB/月 5GB/月
月額料金 700円 850円 980円 1580円
初期費用 3000円
最低利用期間
解約金
なし
通信速度
(超過後通信速度)
150Mbps(500Mバイト超過時は200kbps) 150Mbps(1Gバイト超過時は200kbps) 150Mbps(3Gバイト超過時は200kbps) 150Mbps(5Gバイト超過時は200kbps)
データ通信量
(上限/期間)
500Mバイト/月 1Gバイト/月
(初月のみ2Gバイト)
3Gバイト/月 5Gバイト/月
SIMサイズ micro
nano
※2015年8月18日時点。

「mineo デュアルタイプ」の料金プラン(音声対応SIM)
プラン名 500MB/月 1GB/月 3GB/月 5GB/月
月額料金 1310円 1460円 1590円 2190円
通話料 20円/30秒
無料通話分(月間) なし
通信速度
(超過後通信速度)
150Mbps(500Mバイト超過時は200kbps) 150Mbps(1Gバイト超過時は200kbps) 150Mbps(3Gバイト超過時は200kbps) 150Mbps(5Gバイト超過時は200kbps)
データ通信量
(上限/期間)
500Mバイト/月 1Gバイト/月
(初月のみ2Gバイト)
3Gバイト/月 5Gバイト/月
SIMサイズ micro
nano
初期費用 3000円
最低利用期間
解約金
12カ月(MNP)
9500円(MNP)
高速化/容量追加オプション(価格/容量) 150円/100Mバイト
MNP転入/転出 ○/○(2000円)
音声通話オプション お留守番サービスEX(月300円)、三者通話サービス(月200円)、迷惑電話撃退サービス(月100円)、着信転送サービス(0円、以下同)、割込通話サービス、番号通知リクエストサービス、ボイスメール、LaLa Call
※2015年8月18日時点。

料金プラン

評価:5/10

音声サービスを提供:1

MNPに対応:1

3つ以上のプランを提供:1

1000円以上で2Gバイト以上、または900円未満で1Gバイト以上のプランを提供:1

月7Gバイト以上、および無制限のプランを提供:0

通信規制なし:0

SIMカードの追加:0

データ容量のシェア:1

通話料金の割引:0

固定回線とのセット割:0


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