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マルチキャリア化で競争力アップのmineo “iPhone問題”の現状は?

9月からau網に加えてドコモ網でのMVNOを開始するmineo。マルチキャリア化のメリットとはなにか? また依然としてKDDI系MVNOで続いているiPhone問題の現状について説明した。

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 MVNOサービス「mineo」に、NTTドコモ回線による「ドコモプラン(Dプラン)」を新設したケイ・オプティコム。mineoはKDDI(au)の4G回線を使った格安SIMの代表格だが、9月からはドコモとauの2つの通信網を駆使する“マルチキャリア”展開を開始する。

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ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの津田和佳氏

ドコモプランの端末は年内に用意 iPhone問題の現在は?

 今回のマルチキャリア化は5月に発表されたもので、その際は1枚のSIMでドコモとauの双方を使えるようにする(Apple SIM的な)構想なども明らかにしていた。

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マルチキャリア化のメリット

 ただ8月18日行われたサービス発表会では、「確かに1枚のSIMで電波の強い方をキャッチする仕組みを考えているが、現時点では大きな進捗(しんちょく)はない。情報収集と設備の導入に必要な条件などを検討している段階だ。関係各社への働きかけも必要なので、開始次期ははっきりと申し上げられない」(同社モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの津田和佳氏)と説明しており、実現は当分先のことになりそうだ。

 ただ現時点でドコモプランはSIMカードのみの提供で、セット販売する端末は用意されていない。津田氏はこの点について「正直に言うと間に合わなかった。端末は検討中で年内にはセットで提供できるようにする」と明かした。

 またKDDI系のMVNOには、iOS 8以降の端末でデータ通信ができない問題がある。IIJ(インターネットイニシアティブ)は7月、それを解決するかもしれない方法をBlogで発表し、mineoも自社サイトの「マイネ王」で検証結果をリポートしたが、正式対応には至っていない(ちなみにIIJは法人向けにはKDDI回線を使ったMVNO事業を行っている)。

 津田氏はいわゆるiPhone問題について、「現在も検証中。実際には使えるものと使えないものがあり、音声通話に非対応のiPadなどは、なんとか安定して使えるかなという状態。ただiPhone 5s/5cをiOS 8にすると、初めは使えるが、しばらくして使えなくなるなど、不安定さがある。ユーザーからも『使えた』という声をいただくが、安定していない。もちろん早めに公表したいが、iOS 9の正式リリースも控えており、その検証結果を公表したい。もうしばらく時間をいただきたい」と回答した。もちろんドコモプランはドコモ版やSIMロックフリー版のiPhoneに対応している。

一大キャンペーンも価格競争からは距離

 同社によるとmineoの契約者数は7月末時点で8万超と、6〜7月で1万近く純増したという。7月に最低契約期間を撤廃したことで解約数が増えたが、それを上回る加入者を獲得。津田氏は「サービス開始から1年たち、iPhoneの問題もあったがおおむね想定通り、計画通りの純増数だ」と振り返った。

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mineo史上最大のキャンペーン

 そんな中で開始するドコモプランは“第二創業”ともいうべき体制で臨む。史上最大と銘打ったキャンペーンは、6カ月間の基本料金無料を軸に、ドコモプランを予約すれば無料期間をさらに3カ月間延長。従来のauプランでは指定のスマホをセット購入すると、なんと24カ月間も基本料が無料になるなど、「これくらいでないと、競合の皆さんとやっていくには厳しい」(津田氏)と意気込む。

 なお当初表明していた5年で100万契約という目標も、ドコモプランの導入で達成できると説明する。「開始から1年で10万契約を見込んでいたが、フタを開けてみれば7万契約。iPhone問題に加え、MVNO市場にさまざまなプレイヤー、特に他事業から多くの参入があった影響とみている。『ドコモプランで(100万よりも)もっと上を』という声もあるが、まずは早期に達成したい」(津田氏)

 格安SIMで注目される料金設定については、「“最安値”をうたう他社さんもいるが、うちは他社よりも値下げする意思はない」(津田氏)と述べ、価格競争から一歩距離を置く考えだ。

 今回発表されたドコモプランも、後発組ながらインパクトのある価格設定ではなかった。auプランの値下げは「社内でいくつかの議論があり、ドコモプランとデータ料金は合わせようということになった。プランごとにパケット単価が違うと、不公平感も生まれてしまう」(津田氏)と、競争上というよりはサービスの整合性を保つためという面が強い。

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マルチキャリアは家族で使う場合にも利便性が高い

 ただ6カ月間無料のキャンペーンや、複数回線契約での割引など要所要所での価格攻勢は仕掛けていくようだ。「6カ月間の無料キャンペーンはサービス開始時にも行ったもので、それだけコストをかける。なにより、6カ月間使っていただければ、必ず満足してもらえる品質に仕上げた。夫婦や家族で、ドコモとauに分かれている世帯は多い。マルチキャリア化でその受け皿になれば、家族割などのメリットも効いてくるだろう。そのため従来のauプランも重要で、軸足をドコモプランに移すことはしない。(直接的な価格競争でなくても)マルチキャリアを武器に十分戦っていけると判断した」(津田氏)。

ネットとリアルで顧客接点を強化

 mineoは1月にオープンしたファンサイト「マイネ王」を「情報交換の場」と位置付け、一方的に情報を発信するのではなく、ユーザーを交えたコミュニケーションができるサイトとして活用している。

 マイネ王には「さまざまなご意見だけでなく、ときには厳しいお叱りの声もいただく」(津田氏)そうで、その反響を元に、低速化することでデータ容量を節約する「mineoスイッチ」アプリや最低利用期間の撤廃、1周年記念キャンペーンの内容などが決まったという。もちろんiPhone問題のサポートや検証も、マイネ王で進められている。

 またユーザーが実際に集うリアルイベントも実施し、7月にはグランフロント大阪(大阪市・北区)に初の実店舗もオープンするなど、ユーザーとの接点作りも進めている。津田氏は「店舗には1カ月で1万5000人の来場者があり、CMなどでmineoを知り、興味を持ったという初心者から、格安スマホを検討しているが、実際に端末に触り、対面で話を聞いて納得してから契約したいという人まで、幅広い層に足を運んでいただいている」と述べ、今後も初心者向けのMVNO教室などで利用者の裾野を広げていく考えを示した。

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