半年無料、業界最安でも利益は残せる――DTI SIMがレッドオーシャンにあえて挑む理由:MVNOに聞く(2/2 ページ)
競争の激化でレッドオーシャンと化した格安SIM市場に“業界最安”路線で挑むDTI SIM。そこにはどのような戦略があるのか。DTIを率いる田中伸明氏に聞いた。
DTIのユーザー数は2倍に増える可能性がある
―― 効果のほどは、いかがでしょうか。
田中氏 広告宣伝費で見ても、それほど多くの投資はしていませんが、想定より多いぐらいの勢いで、ユーザーは増えています。
―― 規模感としては、どのくらいを目指しているのでしょうか。
田中氏 今、固定通信のユーザーが30万人ぐらいいて、まずはそこと同程度を目指したいと思っています。固定の方は、比較的年齢が上の方も多いので、格安SIMを別に持っている率は低い。そんな中で、家計の中での通信料を下げるために、格安SIM、格安スマホを選択肢として考える人が増えてきています。そこが浸透してくれば、固定の契約は維持したまま、新しいサービスを使ってもらえます。DTIのユーザー数としては、2倍に増える可能性があるということです。
―― 今はSIMカードの単体販売ですが、端末をセットで売っていくということはありえるのでしょうか。先ほどの広告手法も使えそうですが……。
田中氏 ありえますね。他社さんの売っているハードウェアも、一時期よりは売れるようになっています。ただ、うちが横並びのことをやっても、全部がレッドオーシャンです。ハードウェアは特に差別化要因がないので、ユーザーニーズを見ながらですね。工夫できるところがあればやっていきたいと思います。また、グループとして見れば、垂直統合的に端末とセットで販売しているところもあるので、そちらに誘導するということもできます。
―― 通信速度に関しては、いかがですか。
田中氏 非常に安定していて、昼夜問わず、同じ速度が出るように意識しています。トラフィックの状況を確認できるツールも、フリービット側から提供していますし、どのくらいの速度まで落ちると、体感で使い心地が悪くなるのかというようなことも(DTI側に)教えています。
―― 比率としては、データSIMが多いのでしょうか。
田中氏 まだまだデータですね。ですが、MNPしてくれるユーザーも増やしたいと考えています。MNPのしやすさという点では、他社に劣っているので、そこは早く対応していくようにします。
―― 最後に、DTIとして、使命のようなものがあれば教えてください。フリービットモバイルでは、「スマホを変えるスマホ」のように壮大な目標が掲げられていましたが、お話を聞いていると、非常に現実的で(笑)。何か大きな目標があれば教えてください。
田中氏 DTIとして、レッドオーシャンにあえて突っ込んでいるのは、業界全体として、大手キャリア3社のサービスではなく、もっと割安で、手軽に使えるところがあったらいいと考えているからです。その領域を、とにかく大きくするのが、フリービットとしての使命で、それをやる上で、DTIも重要な戦略を担う会社の1つです。
また、フリービットとしての立ち位置は、freebit mobileがあったころから変わっていません。トーンモバイルでも、DTIでも、(MVNEを利用する)U-mobileでもいいので、ユーザーを増やしてほしいと考えています。
取材を終えて:MVNOの王道だが、差別化をしなければ消耗戦の可能性も
垂直統合を志向したfreebit mobileや、速度を絞ったServersMan SIMを展開していたフリービットグループにとっては、DTI SIMが、ある意味、最初の“正攻法”ともいえる。LTEの速度を抑えず、低価格を訴求するというのは、MVNOの王道だ。後発で新規に始めたDTI SIMだが、現状の競争環境を考えると、この形が正解だった印象を受ける。
もっとも、価格競争には限界もある。現状では最安値を打ち出せているが、追随してくる会社が増えれば、さらなる消耗戦になりかねない。マーケティング手法に独自性があるのは確かだが、今後は、技術的、サービス的に、何らかの差別化を打ち出す必要性が出てくるかもしれない。
基本情報から価格比較まで:―― 格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO」
関連キーワード
DTI SIM | DTI(ドリーム・トレイン・インターネット) | フリービット | ServersMan SIM | MVNO | トーンモバイル | 格安SIMカード | MVNE | MVNOに聞く
関連記事
DTI SIMの3GBプランが月額無料になるキャンペーン、対象者を5000人拡大
月間データ容量3GBの各プランを最大6カ月間無料で試せる「DTI SIM 半年タダでお試し!キャンペーン」が対象人数を拡大。さらに5000人を募集する。「DTI SIM」に月額840円~の3GBプランが登場――最長6カ月間無料のお試しキャンペーンも
月額料金はデータプランが840円、データSMSプランが990円、音声プランが1490円で、業界最安値を実現した(同社調べ)。「DTI 光」の料金が毎月150円割引になる「DTI 光×SIMセット割」提供開始
ドリーム・トレイン・インターネットは、光インターネットサービス「DTI 光」の月額料金が毎月150円割引になる「DTI 光×SIMセット割」の提供を開始した。「DTI SIM」に音声プランが登場――5Gバイトと10Gバイトプランは“業界最安”に
ドリーム・トレイン・インターネットは、モバイル高速通信サービス「DTI SIM」で音声通話機能付きSIMカードと「音声プラン」を提供開始。11月2日からは「容量チャージ機能」も追加する。DTI SIMが「最安値」を引っさげて音声対応 DMM mobileは月内に追随できず――2015年10月音声通話編
10月は、ケーブルテレビ界の“巨人”がMVNOに参入したことや、ほぼ完全な通話定額が登場したことが大きなトピックだったが、あの「全プラン業界最安値」のMVNOが追随できずに月を終えたことにも注目だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.