競争率100倍以上、満足度100%――KDDIが「Xperia オーナーズパーティー」を開催する狙い
KDDIが2016年2月に開催した「au × Xperia オーナーズパーティー2016」は、参加の競争率が約100倍。今回、16日に実施された東京のパーティーに潜入してきた。また、本イベントを実施するKDDIの狙いも聞いた。
KDDIが2月、東京、大阪、名古屋で「au × Xperia オーナーズパーティー2016」を開催した。同パーティーではauを長く利用しているXperiaユーザーを招待し、ソニーの本社やソニーストアで同社のオーディオやエンタメサービスを体験したり、Xperiaの開発者と交流したりできる。第1回を2015年10月に開催し、今回は第2回目となる。16日に実施された東京のパーティーに潜入してきたので、その模様をお届けしたい。
パーティーの参加資格は、auの契約期間が5年1カ月以上、auのXperiaスマートフォンを契約している18歳以上のユーザー。東京、大阪、名古屋ともに定員は30人だが、1万人近くの応募があったそうで、全体だと競争率は111倍。東京だけでも約5500人の応募があり、競争率は約183倍に跳ね上がる。ここから選ばれた幸運なユーザーが参加のチケットを手に入れられたというわけだ。
パーティーは2部構成になっている。第1部ではソニー本社のVIP向けの“非公開エリア”で同社の音楽やゲームをARや大型スクリーンで楽しめるほか、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの映画作品で使われている小道具に触れたり、スポーツの試合で使われている業務用ビデオカメラを体験したりできる。
第2部では場所を変え、懇親会の体裁に。ソニーモバイルコミュニケーションズの林武則氏が「Xperia Z5」の特徴をあらためて解説。ハイレゾ音源の再生とデジタルノイズキャンセリングに対応したヘッドセット「MDR-NC750」や、音楽配信サービス「mora」のミュージッククーポンがプレゼントされることが発表されると、大きな拍手が起こった。また、特別ゲストとして、Xperiaユーザーでもあるフォトグラファーの東真子さんが登場し、カメラ画質の良さを話していた。
Xperiaのカメラ・オーディオ・メカ・ディスプレイのエンジニアやテクニカルサポートなどを務める開発者と直接話せる場も設けられた。参加者は1テーブル5~6人ほどに分けられ、各テーブルには2人の開発者が加わるので、より密度の濃いコミュニケーションができる。
ソニーのサービスをVIPルームで体験し、Xperiaの開発者と直接話すことができる――。そんな特別な時間を過ごせたパーティーは大盛況のうちに幕を閉じた。
非日常で特別な体験をしてもらいたい
そもそも、このパーティーはどのような経緯で実現したのか? KDDI コンシューママーケティング1部 部長の渡辺和幸氏は、「たまたま(ソニー本社の)非公開エリアにご招待してもらったこと」がきっかけだったと振り返る。「『ここを体験するとグッとテンション上がるよね』と身をもって分かったので、auを普段ご利用いただいている方にも体験いただけないかと、かなり無理なお願いしたところ、ソニーさんに快くご調整いただけました」(渡辺氏)
その根底にあるのは、既存ユーザーの満足度を上げること。「データ増量」「キャッシュバック」などは分かりやすい取り組みで、実際にKDDIも長期ユーザー向けにデータを増量するサービス(長期優待データギフト)を提供しているが、「それだけだと味気ないという思いもあります」と渡辺氏。今回のオーナーズパーティーは「auだと非日常で特別な体験ができること」を打ち出した。イベント名も「懇親会」などにはせず、「ソニーモバイルさんとかんかんがくがく議論した」結果、Xperiaユーザーのプライドをくすぐるよう「オーナーズパーティー」とした。
東京会場のみで実施した第1回は、定員30人のところ約1万人の応募があり、約333倍もの競争率になった。終了後にアンケートを取ったところ、「次回も同じようなイベントがあったら参加しますか」の設問に全員が「はい」と答え、他の設問からも「満足度がほぼ100%だった」ことから、第2回の開催を決めた。特に、開発者と直接話せることが良かったという参加者が多かったそうだ。
ちなみに、パーティーに参加したXperiaの開発者からも「モチベーションが上がった」と好評だったようだ。「普段は怒られたばかりだけど、あんなに褒められたことがないと喜んでいた方(開発者)もいらっしゃったようです」(渡辺氏)
一方で、1会場あたりの定員が30人というのは、応募数を考えるとあまりにも少なすぎる。第2回では大阪と名古屋でも会場を増やしたとはいえ、それでも競争率は100倍だ。参加できなくて悔しい思いをしている人も多いだろう。ソニー本社のツアーは厳しいにしても、第2部はもう少し広い会場を借りて、100~200人規模で実施してもよいのではと思う。しかし渡辺氏は「開発者1人とお客さま2人くらいの密度でコミュニケーションを取っていただくことが、このイベントの最大のキモ」と話し、少人数での開催にこだわりがあることを強調した。
KDDIは、他の端末メーカーにも、同様のイベントを実施できないか打診しており、現在検討してもらっているという。渡辺氏は具体名こそ明かさなかったが「Xperia以外にも熱心なファンの方はいらっしゃいます」と話し、今回のパーティーも「ぜひ継続していきたい」と意気込む。オーナーズパーティーは、既存ユーザーの満足度を上げる新しい取り組みといえる。今後の継続と拡張に期待したい。
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